東京オリンピック(五輪)の水球日本女子代表候補のFP今村花(22=ブルボンKZ)が、25日から始まる代表候補合宿(東京=3月2日まで)に向けてコンディションを整えている。スペイン人を父に持ち、剛腕から繰り出すミドルシュートが最大の武器だ。14年ジュニア世界選手権ではスペイン代表をすでに経験済み。今年は日本女子代表として東京五輪を目指す。

今村は3カ国で経験した水球スタイルの“いいとこ取り”で代表入りを狙う。出身はスペイン・バルセロナ。ジュニアの世界選手権代表となったそのスペインではボールの持ち方をはじめ“技術重視”の水球を身につけた。留学した米国・ロヨラメリーマウント大では「どんな形でもシュートは入ればOK」の“パワー水球”が主だった。そして、昨年5月から活動しているブルボンKZでは“スピード”がメイン。「今までやってきた水球の(それぞれの)強いところを使って代表になりたい」と話す。

日本水連は東京五輪代表候補選手31人を1月に発表。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、12日からカザフスタンで行われる予定だったアジア選手権は延期となったが、代表の12選手は9日まで東京で合宿を行っていた。その代表には同僚のFP小出未来(27)が含まれていただけに、今村は代表選考レースにやや出遅れた形。だからこそ、練習にスパートをかける。

勤務するブルボンの配慮で、朝は午前8時から10時までプールで練習。その後、午前10時から11時まで週3回、筋トレを行っている。さらに勤務を終えた後、約1時間の練習がある。そして、8~9日には長岡市で開催された「水球レディースカップ」に出場、実戦感覚に磨きをかけた。チームは4位に終わったものの、優勝の稲泳会戦(7●10)では5得点を挙げる活躍を見せた。25日からの代表候補合宿へ向けたアイドリングはこれで完了。東京五輪代表の発表は5月の予定だ。

「3年前に日本国籍を選んだ。ずっと日本に残ろうと思っている」。今村の時間厳守でまじめな性格は、スペインの友人から「日本の方が合っている」と言われてきた。日本、カタロニア、スペイン、英語と4つの言語を操る“クァドリンガル”は、水球も3カ国のストロングポイントを融合して「五輪に出たい」と意気込んでいる。【涌井幹雄】

◆今村花(いまむら・はな)1997年(平9)7月10日生まれ、スペイン・バルセロナ出身。9歳から水球を始める。スペインのジュニア代表となり、14年ジュニア世界選手権に出場。水球の強豪である米ロサンゼルスのロヨラメリーマウント大に留学。昨年5月、ブルボンKZに入った。171センチ。66キロ。