フィギュアスケート男子の19年ジュニアグランプリ(GP)ファイナル王者、佐藤駿(16=フジ・コーポレーション)が21日、埼玉アイスアリーナで練習を公開した。今月上旬の関東選手権(茨城)で左股関節を打撲したが、3日間の休養をへて復帰したという。

傍らには、14年4大陸選手権優勝の無良崇人さん(29)。9月にアドバイザーとして迎えたスケーターから助言を受けた。週2、3日ほどアシスタント的な指導を受けており「練習場が同じ縁で、自然と(師弟関係になった)。『4回転ジャンプは手と足を同時にすると跳びやすい』とか的確なアドバイスをいただき、うまくいった。今までは感覚で跳んでいたので、意識するだけでも変われたと思う。スケーティングも上手ですし、スピンで苦手のバタフライも間近で教えてもらった。一緒に滑って動きを見せてくれながら、なので分かりやすい」と感謝した。

この日は、新たなルーティンというスピン、ステップの確認からジャンプ練習に移行した。「今までは気分でメニューを変えていたけど、体が温まるのでジャンプが跳びやすくなった」と変化を実感。今月上旬の関東選手権ではジャンプ失敗の連続も、現在は「調子がいい」と表情を明るくした通り、ショートプログラム(SP)曲「パイレーツ・オブ・カリビアン」の通し練習では4回転-3回転の連続トーループ、大技の4回転ルッツ、トリプルアクセル(3回転半)をすべて成功させた。

4回転3種(ルッツ、サルコー、トーループ2本)4本の高難度構成に挑んでいるフリー「バトル・オブ・ザ・キングス」では、何度も音楽を止めて最初からやり直しながら、冒頭の4回転ルッツの精度を高めていた。

シニア1年目。11月は東日本選手権(6~8日、山梨・小瀬)や自身初のGPシリーズ出場となるNHK杯(27~29日、大阪・東和薬品RACTABドーム)が控える。その前に、自身にフォーカスしていた。関東選手権では同い年の親友で、好敵手の鍵山優真(17=星槎国際高横浜)に次ぐ2位で、当時は「気持ちが空回りした」と反省していたが「優真に勝とう、ではなく、まず自分に勝たないとダメだと思った。ノーミス、自分が納得できる演技をすることが大事」。メンタルを切り替えて勝負の月へ。新型コロナウイルス禍で先行き不透明ではあるものの「NHK杯は、おそらく今年一番の試合になる。それくらいの気持ちで、ノーミスの演技ができるように頑張りたい」と静かに闘志を燃やした。【木下淳】