204センチ、118キロ。29歳の世界的スターは、最後まで頼もしかった。

ラグビーのトップリーグ(TL)神戸製鋼は14日、15、19年W杯ニュージーランド(NZ)代表ロックのブロディ・レタリック(29)が退団すると発表した。

神戸市内のクラブハウスで行われた納会。帰り際の駐車場でレタリックは「NZに帰ります。オールブラックスに入れるかは分からない。入れなくても来年はチーフスで活躍して、良ければ選んでもらえると信じています」と口にした。23年W杯フランス大会出場を目指し、古巣のチーフス(NZ)復帰を決断した。

「世界一のロック」は、常に謙虚だった。14年にワールドラグビー年間最優秀選手賞を獲得したスターは、19年冬にやってきた。同年12月10日の入団会見。脂の乗った時期に日本を選んだ理由を、こう明かした。

「日本のスタイル、激しさはスーパーラグビーと別の激しさがある。海外では最近、良くない内容として、ハイタックルが多くなっている。ルール的に厳しくなっている。頭、肩より上にいくとレッドカードが出る。低いタックルにも挑んでいきたい。うまく低くいけるか分からないけれど、頑張ります。タックルだけでなく、ミクロスキル。キャッチ、パス、ランであったり、セットピースもさらに成長したい。成長することによって、さらにチームに貢献できると思います」

日本でのラストゲームとなった、9日の準々決勝クボタ戦。味方防御が劣勢の状況でも、タックル1本で流れを変えた。セットプレーで中心となり、攻撃では確実にボールを前へと運んだ。今季は全9試合に先発出場。首脳陣、仲間からの信頼は、その点に表れた。

日本代表が過去に1度も勝利したことがない、NZ代表「オールブラックス」。その中心選手は2シーズンで、何を感じたのか-。

「日本でプレーすることで、新しい環境でのラグビーを学べました。日本のスタイルは今までやってきたものと違っていた。新しい人と出会い、楽しかった」

異国の文化を知ったレタリックにとって、新たな挑戦が始まった。【ラグビー担当=松本航】