ラグビー日本代表で構成する「JAPAN XV」は8日、東京・秩父宮ラグビー場で今年初の実戦となる「オールブラックスXV」戦に臨む。

19年W杯代表の先発SO松田力也(29=埼玉パナソニックワイルドナイツ)は、キャップ非対象ながら595日ぶりの“代表復帰戦”。7日は会場で最終調整し、21年11月20日スコットランド戦(20●29)以来の出場へ気持ちを高ぶらせた。

昨年は左膝前十字靱帯(じんたい)断裂で代表活動不参加。帰ってきた正司令塔候補が、9月開幕のW杯フランス大会へ真価を示す。

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快晴の秩父宮で大粒の汗を流し、松田は右へ左へパスを散らした。練習着の胸には桜のエンブレム。懐かしい感情がよみがえった。

戦術確認などを終えると、第一声で心境を明かした。

「帰ってこられてうれしい。ワクワクしています。ラグビーができる幸せを感じ、プレーをしたいです」

1年前、代表戦をテレビや客席で見守ることしかできなかった。

5月7日の東京ベイ戦。開始3分、ステップを切った瞬間に左膝の違和感を覚えた。

スタジアム近くの病院での検査中も「大丈夫であってくれ…」と願った。医師に「靱帯がほぼ切れている」と伝えられ、動揺した。

21年秋の代表でつかみかけた、司令塔の座を譲りたくなかった。

それでも周囲は支えてくれた。

先輩フッカー堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)の担当で知られる佐藤義人トレーナーには「W杯から逆算しても時間は大丈夫。次のリーグワン開幕に、絶対に間に合わせられる」と7カ月後の早期復帰を約束された。京都市の実家に戻ると車を片道1時間弱走らせ、同トレーナーの拠点である木津川市に通った。

片足スクワット、バイクこぎ…。代表活動の裏で地味なメニューを完遂し、計画通り12月17日のリーグワン開幕戦で復帰した。シーズン18戦中17戦に出場し「体の状態は去年より上がった」と故障前より手応えがある。

「1戦1戦の積み重ねがW杯の10番、チームの勝利につながってくると思う」

“代表復帰戦”は立場も変わった。

9月のW杯登録33人入りを懸けた争いは激しさを増し、今回はノンキャップメンバー5人が登録された。相手はニュージーランド代表入りを目指す選手で構成され、モチベーション高く向かってくる。

戦術を理解し、的確に判断し、質の高い技術で仲間をけん引する。正司令塔の最有力候補として、求められている役割は分かっている。

「最後80分が終わって笑っていられる、勝利していることを想像し、試合を進めていきたいと思います」

4年前のW杯日本大会。過去最高8強入りしたチームで、1度も先発することができなかった。

悔しい思い出を上書きする、松田の挑戦が始まる。【松本航】

◆松田力也(まつだ・りきや)1994年(平6)5月3日、京都市生まれ。6歳でラグビーを始める。伏見工(現京都工学院)で高校日本代表に選ばれ、帝京大では1年時から主力で4年連続日本一。17年にパナソニック(現埼玉)入団。16年6月カナダ戦で代表デビュー。キャップ29。愛称は「力也」「りっきょん」。181センチ、92キロ。