フィギュア女子のカミラ・ワリエワ(15=ROC)から検出された、トリメタジジンとは、一体どんな物質なのか-。

11日にドーピング検査を管轄する国際検査機関(ITA)が陽性反応を明らかにして表面化。北京オリンピック(五輪)代表選考試合の1つだったロシア選手権(サンクトペテルブルク)で12月25日に採取された検体から、持久力向上の効果があるとされる禁止薬物トリメタジジンが検出されたと発表した。

トリメタジジン 心臓の病気である狭心症、心筋梗塞などの治療などで使われる薬だという。血管を広げ、血流をよくしたり、血管の中で血液が固まることを防ぐ作用がある。

アスリートが使用すると、心肺機能を上げる効果があるとされ、18年平昌五輪ではボブスレー女子のナジェジダ・セルゲエワ(OAR=ロシアからの五輪選手)が失格処分になった例がある。

高島平中央総合病院スポーツメディカルセンター長の元島清香氏は「ドーピングというと、筋肉増強のイメージがありますが、今回のケースはリカバリーを促進する効果を狙ったのでは」と話す。「完璧な演技をするためには、いかに充実したトレーニングを持続するかが大事。たとえばハードトレーニングを3日に1回から2日に1回できるようになれば、当然、アスリートとしてはプラス。肉体疲労からの回復を促す効果を得た可能性もある」と推測した。