北京オリンピック(五輪)のフィギュアスケート団体戦で、ROC(ロシア・オリンピック委員会)の1位に女子2種目で貢献したカミラ・ワリエワ(15)のドーピング発覚問題に関連し、大会期間中にメダルを受け取れないことが決まった2位米国と3位日本の選手に、国際オリンピック委員会(IOC)が「解決までの一時的な記念品」として、聖火リレーのトーチを贈呈したと17日、AP通信が報じた。

トーマス・バッハ会長が北京市内で米国の選手たちと個人的に会談し、ワリエワが関わる種目ではメダル授与式を行わない、とのIOCの姿勢をあらためて強調したという。そして、取り急ぎのメダル代替品としてトーチを贈ったと伝えている。

この日、IOCの定例会見でマーク・アダムス広報部長は「USOPC(米国オリンピック・パラリンピック委員会)の今朝の発表を見たと思うが、昨夜、米国のフィギュアスケーティングチームとバッハ会長の間で会談が行われた。2者の間の話なので詳細は伏せるが」と話し合いがあったこと自体は認めた。

そして3位の日本について「日本オリンピック委員会(JOC)は『IOCのアプローチを受け入れます』と言った。(日本の)アスリートとのミーティングはなかった」と続けて説明した。

JOCがワリエワに対するIOCの処置を受け入れた一方、米国はIOCの対応に不満があったから面談を求めたのか、との追加の質問には「詳細を私は知らない。おそらく私たちの方からアプローチしたんだと思う。バッハ会長の方からアスリートと話がしたい、と。実際に選手と話をすることが、声を聞くことが一番。憶測では決められないので。会長は元オリンピアンで元アスリート(フェンシング金メダリスト)だ。選手の気持ちを、より良く知るために話し合いをしたはずだ」とアダムス氏は補足した。

IOCは大会に団体のメダル授与式を実施しないと決定しており、帰国時にメダルを持ち帰ることができない選手たちに配慮した措置。ワリエワが今夜の女子フリーで個人戦3位以内に入った場合も授与式は行われない。【木下淳】