北京オリンピック(五輪)フィギュアスケート男子4位の羽生結弦(27=ANA)が日本選手団の一員として21日夜、開催地・北京から成田空港着の航空機で帰国した。新型コロナウイルス感染症対策で、入国後の隔離期間に入った。

現役続行に前向きな姿勢をのぞかせたが、今後の予定はまだ発表されていない。まずは負傷した右足首を治し、今後を見据える。

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搭乗便は予定より約1時間遅れで、成田空港に到着。さらに約2時間半後、到着ロビーに姿を見せた。ロビーでは、臨時規制線に沿って約300人のファンが待っていた。その前をゆっくり進んだ。「ありがとうございました」。30メートルほどの距離。羽生は歩みを進めるたび、ファンに向かって感謝した。お礼の言葉は30回近くに上った。最後、姿が見えなくなるところで深々と一礼。空港を後にした。「おつかれさま」「ありがとう」。コロナ禍とあって、大多数のファンが小さめの声。羽生にねぎらいと感謝の言葉を送った。

94年ぶりの3連覇が期待された五輪は4位だった。8日のSPで氷上の穴にはまり「氷に嫌われちゃったかな」。まさかの8位発進に火がつく。2日後のフリー冒頭、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだ。右足首を捻挫し、痛み止めを飲みながら。世界初認定。4日後、国内外メディア300人超を集めた会見で「満足した。9歳の自分が褒めてくれた」と納得した。

一方、試合後に北京で重ねた練習では歴代のロックナンバー3曲、ピアノ曲8曲、そして代名詞の「SEIMEI」を舞った。落とし物を探す、との表現で過去の自分が失敗したジャンプを決め、過去の自分を超えた。試合後は「全然楽しくなかった」と満身創痍(そうい)だったが「報われなかった今は今で幸せだな」「これからの人生にとっても大切な時間になりました」と愛する五輪で、また進化した。

前夜は痛み止めを6錠も服用してエキシビションに参加。大会マスコット、ビンドゥンドゥンとの競演で盛り上げた。3月の世界選手権(フランス・モンペリエ)については「ちゃんと休ませてあげたい」と右足首を気遣い「総合的に判断したい」。出場を明言できない状態だと明かした。

ただ、現役続行には前向きな姿勢を示している。今後も「フィールドは問わない。アイスショーなのか競技なのか。どっちにしろ『羽生結弦のスケート好きだな』と思ってもらえる演技を続けたい」と語った。まずは負傷が癒えるのを待ち、次のステージに挑む。【近藤由美子、木下淳】

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