ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ノーマルヒル金、ラージヒル銀の小林陵侑(25=土屋ホーム)ら日本選手団は和食をパワーの源にしている。

日本選手団の食と栄養をサポートしているのは、日本オリンピック委員会(JOC)が設置した「JOC G-Road Station」。味の素が運営協力する。ジャンプチームは欧州遠征が長期に及び、誰もが和食が恋しくなる。ジャンプ男子の中村直幹(25=フライングラボラトリー)はサバの煮付けを食べたという。「めっちゃおいしくて、陵侑と『これは泣けるね』と言いながら食べた。パワーもみなぎる」とサポートに感謝した。

同施設は16年リオ、18年平昌、21年東京大会に続き、今大会では現地2カ所に設置された。「味の素ビクトリープロジェクト」グループ長の篠田幸彦氏は「冬季競技は直前まで海外転戦して入る選手が多く、和食を食べるのが3、4カ月ぶりくらいの方が多い。家庭で食べられる和軽食の類いでも喜ばれる想定で出している」と和軽食メニューの充実を強調した。

東京大会の知見を生かした。今大会の同施設の「勝ち飯」は「だし茶漬け」と「具だくさん鍋」だ。篠田氏は「東京五輪では食べる前にだしを飲むことで、胃を動かしていただいた。だし茶漬けはその発展系。日本らしいメニューです」と話す自信作だ。また、「具だくさん鍋」は豚汁などをベースに、東京大会でも提供されたアスリート向けギョーザ「エナジーギョーザ」「コンディショニングギョーザ」や野菜などの具材を自由にトッピング。好みにアレンジできる。

2種のギョーザはフィギュアスケート羽生結弦の「ギョーザが好きっす! 何個でも食べられる」との声を受け、東京大会以前に開発着手したもの。東京大会で大好評。JOCから同大会閉幕直後に「冬でもぜひ」とリクエストされ、冬季大会では初提供となった。

コロナ禍でも万全の体制が整えられた。感染症対策で、スタッフ人数が制限された。バブル内への食材受け渡しができず、野菜などの生鮮品の現地調達は不可能。食材はほぼ日本から発送。追加発送もできず、日本から発送した箱数は過去大会の倍以上になった。

篠田氏は「選手の心と体の健康をしっかりと整えてあげたい。『G-road-』がメダル量産の基地になることを心から祈っています」と話した。【近藤由美子】