20日に閉会式が行われ幕を閉じた北京オリンピック(五輪)では、心に響くアスリートの言葉がたくさんありました。日刊スポーツの五輪担当記者の印象に残ったコメントを「言葉の力」と題して紹介します。(木下淳、三須一紀、阿部健吾、松本航、奥岡幹浩、保坂果那)

◆スピードスケート高木菜那「転ばなかったら優勝できたタイムだった。悔しい…」(15日、女子団体追い抜きの3番手で滑走していた最終コーナー出口で転倒。銀メダルと連覇は消え、妹美帆と悔し涙で抱き合った)

◆スピードスケート高木美帆「つらい練習をしなくて済むなら、したくない。でも自分が良くなるためには追い込んでいかないといけない。そういう点ではあまり立ち止まるタイプ、体質ではない」(17日、女子1000メートルで金メダルを獲得)

◆スピードスケート小平奈緒「(右足首捻挫を明かし)不格好な作品になってしまったが、自分なりに今を乗り越える作品にはなったのかな」(17日、前回銀メダルの女子1000メートルで10位)

◆スノーボード平野歩夢「(2回目に難易度の高い技を入れたルーティン成功も点数が伸びず)イライラというか、怒りが切れないままの3本目だった。いつも以上に、怒りとともに集中できた」(11日、男子ハーフパイプで金メダルを獲得)

◆スノーボード鬼塚雅「ずっと練習してきたキャブダブルコーク1260を着地できなかったことは残念。でも今回の五輪で挑戦することができて幸せ」(14日、ビッグエアは決勝1回目に転倒し、ぶつけた顔を腫らしながらも2回目、3回目に挑んで11位。平昌五輪では、強風の影響を受けて8位。「オリンピックはちょっと嫌いだなと思った」と吐露していた)

◆スノーボード岩渕麗楽「本当にびっくりした。私だけの挑戦だと思っていたけど、みんながこんなにほめてくれて」(15日、ビッグエア決勝で4位。繰り出した最高難度の大技「トリプルアンダーフリップ」は着地失敗も、海外のライバルたちはその勇気をたたえて駆け寄った)

◆スノーボード村瀬心椛「アイスクリームとか、梅干しとか、いかの天ぷらとかが好物。そんな好きな食べ物を食べたい」(16日、ビッグエアで冬季五輪の日本女子最年少メダルとなる銅を獲得、一夜明けの会見で自分へのご褒美を聞かれ)

◆カーリング藤沢五月「こんなに悔しい表彰式ってあるんだなと感じた」(20日、女子決勝で英国に敗れ銀メダル)

◆ジャンプ高梨沙羅「もう私の出る幕ではないのかもしれない」(5日、女子4位で2大会連続のメダル獲得ならず)

◆ジャンプ小林陵侑「僕が魔物だったかもしれないです」(6日、男子ノーマルヒルで金メダルを獲得後)

◆複合山本涼太「すごくプレッシャーだった。最高でした」(17日、団体のアンカーに抜てきされ3位。初の五輪で日本に28年ぶりのメダルをもたらす力走)

◆複合渡部暁斗「個人戦より10倍うれしい」(個人で3つのメダルを獲得しているエースが団体で初のメダルを獲得)

◆モーグル堀島行真「諦めそうになったけど、これはちょっと諦めちゃだめだなと思った」(5日、決勝3回目、ターンが乱れそうになったが攻めた滑りで銅メダル)

◆フィギュアスケート宇野昌磨「試合が終わって、記者会見して、ドーピング(検査)して、メダルセレモニーをやって、この後取材がたくさんあって、明日は朝が早くて…。そのスケジュールを聞かされた時に『あぁ、オリンピックだな』って思いました」(10日、18年平昌五輪銀に続く銅メダルを獲得)

◆フィギュアスケート羽生結弦「挑戦し切った、自分のプライドを詰め込んだ五輪だったと思います」(10日、94年ぶり3連覇を逃すも、前人未到の4回転半が世界初認定された男子フリー後)

◆フィギュアスケート坂本花織「このオリンピックで寿命が10年ぐらい縮まった。まぁあと90年ぐらい残っているので大丈夫」(20日、団体、個人で銅メダルを獲得した五輪をエキシビションで締めくくり)

<番外編>

◆フリースタイルスキー谷愛凌(中国)「人生が変わりました。そして表彰台の一番高いところで言いました。『私の名前は谷愛凌! 世界最高のハーフパイプのフリースキーヤー!』と」(ハーフパイプ女子で今大会2個目の金メダルを獲得。米国と中国にルーツを持ち、地元の絶大な人気に結果で応え、胸を張って振り返った)

◆ボブスレー・ケーリー・ハンフリーズ(米国)「まるでスーパーマンみたいだった。ただただ、飛んでいるような感覚!」(新種目女子1人乗りで金メダル)

◆バイアスロン・ベトレショースタ・クリスティアンセン(ノルウェー)「顔が地獄のように痛かったけど、地獄のように幸せな気分だ」(経験のない極寒のレースとなった男子マススタート15キロで銅メダル)

◆アルペン・ヨアン・クラレイ(フランス)「私の母は、私がすることすべて時間がかかったと言いました…歩くこと、話すこと。私のスポーツのキャリアも、まったく同じでした」(男子滑降銀メダルで、表彰台に上がるまで41年を費やして)

◆アルペン・ジェームズ・クロフォード(カナダ)「表彰台に立てないんじゃないかと思って、そりました」(6度目のレースから急きょ口ひげをそって臨み複合回転で銅メダル)

◆ボブスレー・シェーンウェイン・スティーブンス(ジャマイカ)「愛は本物だ。ジャマイカと全ての『クール・ランニング』ファンのために、五輪会場で滑るのが待ち切れない」(88年カルガリー五輪に出場した実話をもとにした大ヒット映画「クール・ランニング」のモデルとなった、ボブスレー男子ジャマイカ代表が映画と同じ4人乗りで24年ぶりに五輪出場して)

◆スピードスケート高亭宇(中国)「誰かが『旗手の呪い』といったことを言っていたが、ずっとそれを封じ込めたいと言ってきた。そして金メダルを獲得した」(中国では五輪で開会式の旗手を務めると、好成績を残せないというジンクスがあったが、それを覆す男子500メートル金メダル)