北京五輪スピードスケート・ショートトラックは16日に最終日を迎え、24年ぶりのメダルを目指した男子5000メートルリレーはB決勝(6~8位決定戦)に臨む。24年前の長野五輪、男子500メートルで金メダルをつかんだのが西谷岳文氏。日本代表の宮田将吾(19)は、西谷氏と同じ阪南大1年で初の五輪に臨み、同じ杉尾憲一コーチの指導を受けて成長した。4年後の悲願成就へ、このレースが再出発の号砲となる。

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宮田が小1だった夏、長野・岡谷市で行う合宿の前日だった。出発が早く、当時のコーチだった西谷晃子さんの自宅に招かれた。手元に見えたのは、ずっしりと重い金メダルだった。「あ~金メダル! 僕もオリンピックに出る。欲しい!」。夫の岳文氏が長野五輪でつかんだ勲章は原点となり、宮田は「かっこいい。よく西谷さんの動画を見て『頑張ろう』と思ってきた」と明かした。

6歳になったばかりの09年、いとことスケート教室に参加し、晃子さんの誘いでショートトラックを始めた。小1でクラブに入部すると、直後の西谷夫妻の結婚式ではキャンドルをテーブルにつける役を担った。負けず嫌いで、いとこの後ろについては最後に抜くスタイル。「全部自分で先頭を引いて、勝たないと強くならへん。それじゃないと私は認めないよ」-。晃子さんに諭された教訓を胸に、西谷氏と同じ杉尾コーチの下で世界に羽ばたいた。

19歳で立った北京五輪。個人戦では積極的に前に出て、世界との差を痛感した。メダルを目指した11日の5000メートルリレー予選では決勝進出圏の上位2着に入れず「チャンスをものにできず、自分もレースを動かせなかった」と悔やんだ。

五輪最後のレースとなるB決勝もオランダ、ハンガリーと強豪がそろう。23歳で迎える26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ「いい結果を出せるように取り組まないといけない」と誓って迎える、再出発のレースになる。【松本航】