電車内のポスターや動画が、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの競技の見どころを見事に表現している。これは、東京メトロとJR東日本の共同企画「TOKYO SPORTS STATION」。なぜ電車内で観戦ポイントを見せているのか? どうやって競技の魅力を見つけたのか? 両社担当者に聞いた。【取材・構成=佐々木一郎】

「着地の負荷は、力士4人分」。これは体操編のキャッチコピー。着地の際の負荷は約700キロに及び、力士4人分に例えて選手の過酷さを表現した。

このように、競技の見どころ、魅力をポスターや動画で見せている企画が「TOKYO SPORTS STATION」。東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)の東京メトロとJR東日本が、機運を盛り上げるために大会1000日前の2017年秋からスタートした。

東京メトロ広報部宣伝課の植木あゆはさん
東京メトロ広報部宣伝課の植木あゆはさん

「車内のすき間時間を面白く感じてもらえるコンテンツを考え、トリビアを紹介するものにたどり着きました」と東京メトロ広報部の植木あゆはさん。1競技あたり、東京メトロは3000枚、JR東日本は1万枚を用意し、約2週間掲出している。五輪とパラリンピック合わせて全55競技を紹介する予定で、ゴールデンウイークごろにすべてが出そろうという。

専門的な知識がなくては作れないトリビアは、各競技団体の協力を得て、実務を担当した広告代理店の電通がまとめた。植木さんは「トリビアに寄りすぎず、まずは競技のすごさを伝える。本質をついたトピックスを1つ入れ、あとは面白い情報を入れています」と説明した。

JR東日本・東京2020オリンピック・パラリンピック推進室の藤森佳世子さん
JR東日本・東京2020オリンピック・パラリンピック推進室の藤森佳世子さん

動画やポスターは、ウェブでも公開中。JR東日本の東京2020オリンピック・パラリンピック推進室の藤森佳世子さんは「いろんなスポーツを紹介していただいてありがたいとか、面白いという声をいただいています」と話している。


<TOKYO SPORTS STATION>

 
 

◆パラパワーリフティング 絵とコピーは、3つともインパクト十分。具体的な数字は想像をかきたてる。

 
 

◆体操 着地の負荷が大きいことは想像に難くない。「力士4人分」との表現が見事。

 
 

◆スポーツクライミング 登る高さと速さを想像しやすく例えた。選手の超人ぶりをうまく表現している。

 
 

◆近代五種 「いきなり35連戦」は競技者には当たり前だが、絵にして示されるとびっくり。

 
 

◆アーチェリー 的を目玉焼きで表現したところが秀逸。雨粒の数で打ち方を変えるとは!

 
 

◆視覚障がい者柔道 イラストが見事。組み手争いがない視覚障がい者柔道の世界をうまく表現した。

 
 

◆スケートボード 靴をこすって繰り出す技があるとは…。競技を見る目が変わってくる。

 
 

◆空手 「形」とは何か? 素人目線にずばり答えてくれた。空手の理解を深める1枚。

◆バスケットボール 3人制バスケは、5人制とはルールが異なる。ノックアウト制はスリリングだ。

 
 

◆ゴールボール 選手のために観客は静かにする。会場の空気感が、文字とイラストから伝わる。