◇1964年パラリンピック東京大会卓球男子ダブルス決勝(代々木第1体育館)

 日本選手団の期待を背負って決勝に進んだ猪狩靖典・渡部藤男組は、英国のスウィンドルハースト、ギブソン組と対戦した。卓球は日本のお家芸とあって注目されたが、会場となったのは体育館のアリーナではなく南口ホール。折りたたみいす50脚という「観客席」からの声援を受け、日本人としてパラリンピック史上初の金メダルを手にした。

 日本はこの大会で卓球や競泳に金1、銀5、銅4個のメダルを獲得。もっとも当時の日本には「障がい者スポーツ」は浸透しておらず、ほとんどの選手がリハビリ施設や入院先の病院の車いすをそのまま使用していた。すでにスポーツ用の車いすがあった欧米との差が大きい中、障がい者スポーツの先進国ともいえる英国選手を破った日本組は大健闘だった。(2015年03月04日東京本社版掲載)