<サッカー解説者 松木安太郎(57)>

 僕なりの「応援」とは選手たちの不安を取り除いていくものだと思ってるんです。どうしてもスポーツは思うように結果が出る選手と、そうでない選手がいる。明暗が必ずある。監督やコーチまでとはいかないけど、選手たちの「パートナー」のつもりで、親身にサポートしていけば、伝わると思う。いまひとつ波に乗り切れていない選手の支援になると考えています。番組でもそんな姿勢で、応援していきたい。

 (84年ロサンゼルス、88年ソウルの)サッカー五輪予選を戦ったけど突破はできませんでした。当時は精いっぱいやったという自負はあったけど、今思えば準備が足りなかったとも感じる。応援も、今ほどのバックアップは少なかったね。僕らの時は(サポーターの大声援があるような)時代じゃなかった。応援サポートの重要性に気付いたのはJリーグの監督時代ですね。

 応援は大事なんです。だから番組では頑張っているけど知られていない選手も取り上げて話を聞きたい。

 サッカーの解説も前向きにしようと考えています。ミスをした選手をけなしてはいけない。「悪い」というのは簡単ですが、悪いプレーをしようと思っている選手はいません。サッカーは団体競技です。ミスが起こった場所とは全く違うところに原因があったりします。それを丁寧に説明しようと心がけています。解説も応援も建設的にできれば、必ず選手のためになると思っています。先日、FW豊田陽平選手(J1鳥栖)が「どんどん言ってください」と言ってくれました。

 64年の東京五輪は小学1年生で祖父(大相撲元十両・葵竜)とテレビ観戦をしました。くしくも2020年、孫の男の子が小1になる。運命を感じます。一緒に見たいですよね。

(2015年6月10日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。