熊本・玉名市は元祖オリンピアンで五輪をテーマにした大河ドラマ「いだてん」のモデルにもなったマラソンの金栗四三氏の地元です。かつての住家やお墓もあり「マラソンの父」と呼ばれた金栗氏のお墓には、有名選手も含めて多くのランナーがお参りに来ます。

大河ドラマと東京五輪をきっかけに、玉名市はスポーツ振興により力を入れていきたいと思っています。地元ではバドミントン「フクヒロ」の広田彩花選手(玉名女子高卒)、マラソンの福田穣選手(玉名中卒)、レスリングの荒木大貴選手(玉名工高卒)らに東京五輪への出場と活躍を期待し、応援しています。

3月に開催する「金栗杯玉名ハーフマラソン大会」は今年で第70回を迎え、金栗氏とのご縁で筑波大(前身の東京高等師範学校が母校)からの参加者もいます。これは競技性の高いレースであり、新人の登竜門として金栗氏の遺志を継ぐ、伝統ある大会です。対照的にみんなが楽しめる市民レースが2月の「横島いちごマラソン」で、2・5キロからハーフマラソンまで5種目あり、地元名産品のイチゴやトマトが食べ放題。皆さん自分のペースで食べて走って、楽しんでいただいています。今回が42回目で参加者を6000人で打ち切るほどの人気があり、ほかでは味わえない「田舎のよか大会」です。北海道や沖縄、香港や台湾からの参加者もいらっしゃいます。

これを東京五輪イヤーの来年20年には拡大し、フルマラソンのコースを設けようと準備しています。交通規制の問題もありますが、参加者1万人くらいが目標。そして大会を継続し、金栗効果、五輪効果を一過性に終わらせないようにと思っています。

勝った負けただけではなく、継続していれば相応のレベルになる。競技だけでなく、人間として学ぶことがある。1番になるため、有名になるためだけではない。金栗氏はそういうお考えだったと思います。

金栗氏は「先見の明」があったと思います。女性がスポーツをすることなど考えられない時代に女子体育の礎を築き、障がい者のスポーツを始めました。目の不自由な人にひもを握らせ走らせる運動会をしたそうです。今では当たり前のことを遠い昔にやっていたのです。そういう金栗先生の姿勢を受け継ぎつつ、スポーツ界の一助になるよう尽力したいと思います。

東京五輪に向けて、関係者の皆さん全員を応援しています。そして皆さん、ぜひ玉名にも遊びに来てください。

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