幼なじみだった「航平さん」(内村航平=30)の所属するリンガーハット体操競技部監督として、母国、しかも生まれ育った東京で開催される五輪に挑めることに不思議な運命を感じています。

夏休みの体操教室の長期合宿で知り合ったのは小学2年の時。その後に高校で長崎から上京してきた航平さんと同じ所属となり、一緒に生活し、学びました。「こうへい」「ひろ」の呼び名が変わったのは、個人総合で2連覇を達成したリオデジャネイロ五輪後にプロ転向したタイミングで、監督という立場になってから。1歩距離を置く意味で提案し、受け入れてもらいました。いまは航平さんが目指す、東京五輪での団体総合優勝へ向け、日々をともに過ごしています。

それまでの3年間はオーストラリアで体操に携わっていました。明大を卒業して社会人クラブに入社後、先輩である塚原直也さんがオーストラリア代表としてリオ五輪へ挑むことになり、自ら望んで帯同させてもらいました。最初は英語もしゃべれずに悪戦苦闘、濃い時間を過ごさせてもらいました。現役生活は13年末で区切りをつけ、異国で暮らした中で、人間として成長させてもらいました。残念ながら塚原さんは五輪には届きませんでしたが、挑戦する姿を間近で見させてもらい、感謝に堪えません。

東京五輪開催が決まった13年9月はオーストラリア行きが決まっていました。その当時はオーストラリア代表のコーチとして日本に戻れたらな、などもおぼろげに描いていました。それがまさか、航平さんと一緒に目指すことになるとは。16年夏に「プロになろうと思っている。ひろにコーチに付いてほしい」と言われた時は最初はうそかなと思いましたが、いまは運命を感じています。

2人の思い出の五輪は、04年のアテネ大会です。深夜だったので各自の部屋でテレビで観戦していたのですが、団体総合で28年ぶりに頂点に立った明け方、興奮して航平さんと連絡し合い、喜び合ったことを思い出します。そんな夢の舞台に携われることは本当に光栄です。今季初戦は26日に始まる全日本個人総合選手権(高崎)で王座奪還を目指します。サポートできることを追求し、自分のやるべきことに集中し、一緒に戦っていきます。

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