「ありがとう、TOKYO」で終わりにしたくない。東京大会で日本が注目された機会を無駄にせず、世界中の人が日本に集まる場を2020大会のレガシーとして創造したいんです。

12年ロンドン・オリンピック(五輪)女子バレーボールで銅メダルを獲得した際の技術スタッフ渡辺啓太氏と、同五輪フェンシング男子フルーレ団体銀を支えた千葉洋平氏とともに当時、競泳日本代表の広報を務めていた私は、14年6月「一般社団法人日本スポーツアナリスト協会」を立ち上げました。スポーツアナリストとは「情報」「データ」「テクノロジー」を駆使し、選手・チームを勝利に導く方々です。

国のスポーツへの支援削減が予想される21年以降、真っ先に削減対象になるのが同アナリストなのではと危機感を持ったことが設立理由です。同協会はスポーツの輪を広げるため「スポーツアナリティクスジャパン(SAJ)」というイベントを14年から毎年開催し、今年2月には集客900人までに成長しました。教育、エンタメ、医療、メディア、ビジネスなどスポーツに少しでも関わる分野の方々が一堂に会し「スポーツ×データ」の無限の可能性を模索しています。冒頭に戻りますが、私の夢はSAJを飛び越え、スポーツを核とした世界的な「フェス」を日本で開催することです。イメージは米テキサス州オースティンで開かれる「サウス・バイ・サウスウエスト」。一般的な音楽フェスを超越し、多分野の見本市のような様相です。07年にはツイッター社が出展し、流行のきっかけとなりました。

せっかく2020大会で日本に集まった世界中の注目を、簡単に手放してはもったいない。東京に注目が集まっているうちに、仕掛けなければなりません。東京大会が延期となったことを悲観するばかりではなく、注目が集まる期間が1年延びたとポジティブにとらえ、本来五輪が開幕していたタイミング(7月23日午後5時~24日同5時)に仲間たちと「HiVE」(蜂の巣)という24時間のオンラインイベントを開催しました。フェイスブック、YouTubeを利用し10カ国につないで、スポーツと「宇宙」「ロボット」「ストリートカルチャー」など多様な26セッションをライブ配信しました。

「スポーツビジネス」ではないのです。そう呼ぶと一気に規模感が小さくなる。スポーツという概念が社会との接点において無限に広がる可能性を追求したい。スポーツを核としたこのようなフェスが日本にあったら面白くないですか? 今は日本から世界の情報を取りに海外に出て行くけど、逆に海外から日本に情報を取りに来る国際的なフェスをつくりたい。2020大会を日本スポーツ界、文化発展の転機にしたいです。(321人目)