この持ち回りコラムのタイトルは「北京の風」だが、本日担当の記者は北京市ではなく、スキーやスノーボード競技が行われる張家口市で現在過ごしている。首都から北西に約150キロの地方都市。そこに吹く「張家口の風」は凶暴なほど冷たく、厳しい。

フリースタイルスキー・モーグルの男女予選が行われた3日、競技終盤の午後8時ごろには氷点下19・8度をマーク。風の影響もあり、体感温度はマイナス20度をはるかに下回った。

人生で初めて経験する寒さ。一番困るのが、指先の感覚がすぐになくなってしまうことだ。手袋を二重に装着しても、15分もたてば手がかじかみ出す。ノートをめくったり、スマートフォンを操作しようと素手になれば、指先は冷気に包まれ一気にやられてしまう。

個人的に、防寒対策をもっとしっかりしておくべきだったと後悔しているのが頭部付近。安いニット帽を持参していったもののあまり効果がなく、右耳上部には早速しもやけができてしまった。左耳にできるのも時間の問題か。

メガネはくもるだけでなく凍ったり、前日に充電したICレコーダーのバッテリーは少し使っただけで切れてしまうなど、取材環境は厳しい。ボールペンのインクも凍って出づらくなる中で、鉛筆を使ってみみずのような文字をノートに這(は)わせる日々。極寒の地から熱い記事を届けるべく、悪戦苦闘を重ねている。【奥岡幹浩】