北京で一瞬、ラグビーに没頭した大学時代を思い出した。フィギュアスケート団体戦が始まった4日、会場の首都体育館に設けられたプレスルームに各国記者の輪ができた。「○○(社名)、ジャパ~ン」。マイクで呼ばれる度に、日本の記者仲間が自然と「うぉ~い!」と拍手で送り出した。まるで試合前のメンバー発表。そんな雰囲気で「ニッカンスポーツ、ジャパ~ン」も聞けて安心した。

この発表、結構重要なのだ。当選すると「ミックスゾーン」(取材エリア)に入るチケットが手渡される。ちなみにその日はおおむね各社1枚。以後は試験の合格発表のように画面に表示され“メンバー発表形式”は終わった。羽生結弦(ANA)らが登場した8日は2枚手に入り、先輩記者と喜んだ(ちなみに10日のフリーは1枚)。活字媒体の8日の内訳は日本メディアが33枚で最多。地元中国が14枚、金メダルをつかむチェンがいる米国が13枚と各国の注目度に比例した。

フィギュア会場ではショートトラックも行われている。開幕翌日の5日、ある記者がつぶやいた。「日本、通信社の2枚だけだよ…」。メディアも中国、韓国、欧米諸国の熱気に圧倒される夜になった。肩身の狭い思いで、黙々とキーボードをたたいた。【松本航】