日本勢の優勝が女子57キロ級の広瀬順子(27=伊藤忠丸紅鉄鋼)だけにとどまったことに、講道館に足を運んだ熱心な柔道ファンも驚きを隠せなかった。客席のあちこちから「全日本大会なのに日本選手が勝てないなんて…」という声が聞こえた。

 この大会に海外から招待選手が参加するようになって3年目。昨年のリオデジャネイロ・パラリンキック、10月のウズベキスタンW杯で表彰台に立った選手も複数含まれるなど、今年は史上最高レベルの戦いになった。

 日本代表の遠藤義安強化委員長(日本視覚障害者柔道連盟専務理事)は「海外の強い選手と対戦することで、日本の選手が力の差を実感できる機会になればいい」と、招待選手制の効用を語る。日本の選手が国際大会に出場する機会は年に1、2度。欧米では積極的な選手交流が行われており、乗り遅れないためにも海外選手の招待は継続したい意向だ。

 しかし、日本一を決める全日本大会が本来の目的を失ってしまうことも危惧している。遠藤委員長は「将来的には“ジャパンカップ”といった国際大会開催も考えたい」と明かした。日本選手だけで全日本を争い、その上位選手に国内で開催する国際大会への出場権を与えるプランだ。

 視覚障害者柔道の普及と強化へ、日本連盟もアクションを起こしていく。