男子車いすテニスの真田卓(32=凸版印刷)が22日、都内の2020東京五輪・パラリンピック組織委員会を訪問した。東京を目指すアスリートと組織委職員との交流を図る「アスリートビシット」という企画で、今回が7回目。パラアスリートとしては昨年8月に陸上男子走り高跳び(切断などT44)の鈴木徹(37=SMBC日興証券)と同女子短距離(切断などT47)の辻沙絵(23=日体大大学院)が訪れて以来2回目、3人目になる。

 港区の虎ノ門ヒルズ森タワーにある組織委のオフィスを回り、職員たちとあいさつを交わした真田は目を丸くした。「これだけ多くの方々が東京大会を成功させるために働いているんですね。驚きました」。現在の職員は合計1300人だが、2年半後の大会までに8000人まで増員されることを知らされると、「それだけ大きなイベントということ。その大会でメダルを取れるように、僕もしっかり準備しなければ…」と、今度は日焼けした顔を引き締めた。

 新しい年に好スタートを切った。18年初戦として1月9日からシドニーオープン(オーストラリア)に出場。世界ランク9位で臨み、2回戦で同8位のジェラード(ベルギー)、準々決勝で同3位のウデ(フランス)を破った。準決勝で日本の第一人者で同大会を制した国枝慎吾(33=ユニクロ)に屈したが、世界トップ10が出場したハイレベルな大会で結果を残し、最新の世界ランキングでは8位に浮上している。

 これまで以上にライバルたちのデータ分析を進め、初めてメンタルトレーナーを大会に同行させたのが奏功した。「緊張感や試合中のネガティブな考えがなくなった。自信を持って戦えるようになりました」。ライトハンドから繰り出す強打は世界屈指なだけに、戦略と精神面の向上は明るい材料になる。

 パラリンピックは12年ロンドン、16年リオデジャネイロに出場し、リオでは三木拓也(28=トヨタ自動車)とのダブルスで4位になった。東京では当然、シングルス、ダブルスともに表彰台の一番高いところを目指す。「組織委やボランティアのみなさん、観戦に訪れる人々、そして参加する選手たちと、携わるすべての人がよかった、素晴らしかったと思える大会になればいいですね。メダル? 金を狙いますよ」。組織委職員と触れ合いが、真田には大きなモチベーションになったようだ。【小堀泰男】