昨年の世界選手権9位の日本は同3位のオーストラリアに60-77で敗れ、ともに1勝1敗となった。

第1クオーター(Q)開始直後に香西宏昭(31=NO EXCUSE)が鮮やかな3点シュートを決めた。20年東京パラリンピックの本番会場。客席を埋めた地元周辺の小中学生たち沸き返ったが、日本がリードを奪ったのはこの一瞬だけだった。立て続けに9点を失ってリードを許し、第2、3Qは食い下がったものの第4Qには逆に突き放されて17点差で屈した。

香西とダブルエースの藤本怜央(35=宮城MAX)は「フィジカル、メンタルともに準備不足。それがこの点差になった」と、試合前の心と体の高め方に問題があったと指摘した。そして「体の強さ、当たりの強さで負けたわけではない。修正点は分かっている」。日本の特長であるトランジション(激しい守備からの速攻)は表現できた。ただ、オーストラリアのプレッシャーに人とボールの動きがわずかにかみ合わず、チームが調和を保てなかった。それがシュートミス、パスミスにつながった。

全Qで先発メンバーに名を連ねた秋田啓(29=岐阜シャイン)は「試合の入りで流れをつかみきれなかった。チームを高めることができなかった」。昨年はオーストラリアに連勝するなど、4戦全勝で優勝。その後の世界選手権は9位に終わったが、チームが着実に成長していること全選手が実感している。

これまでは香西、藤本に頼るケースも目立ったが、東京でメダルを取るために全選手のレベルアップに取り組んでいる。この日も激しくメンバーを入れ替えた及川晋平監督(48)は「そう簡単には勝たせてもらえない。わずかな差が勝負を分けた。明日イランに勝って、決勝でもう1度オーストラリアとやる。そして、勝ちたい」と雪辱の連覇を誓った。