東京パラリンピック代表に内定している瀬立モニカ(22=江東区カヌー協会)が、1艇で行われたカヤック種目のKL1クラスでゴールインし、荒天で中止となった18年をはさんで3連覇とした。

ゴール後に首をひねったのは、全力を出し切れなかった悔しさからだった。レース後、1週間ほど前に右肋(ろく)軟骨の疲労骨折を発症していたことを明かした瀬立。「日常生活もすごく大変だった」というなか、前日まで参加を迷っていたが、「9月は本来ならパラリンピックがあった。この夏は、ここに向けてこぎこんできた」と出場を決断した。

けがを長引かせないよう、気持ちを抑えながらのレース。雨が降り、強い風が吹く中での悪条件のなか、同時にレースを行った別クラスの選手に大きく水をあけてゴール。「自分なりに最後までこげたのかな」と、自らを納得させるように話した。この日、もう1本出場を予定していたヴァー種目のVL1クラスは棄権した。

悔しさはにじむが、表情に暗さはない。全治1カ月程度で、故障があければ再び練習に専念できる。「いままで大会前に調子が悪くなることはなく、いい経験になった。いちばん大切なときにこうならないよう、今後は練習メニューなども考えていきたい。とにかくめっちゃ前向きです」。

昨年8月の世界選手権で5位となり、すでに東京パラリンピック出場を決めている。来夏の舞台は江東区の海の森水上競技場で、瀬立にとって「まさに地元」にあたる。「まずは東京大会の開催を願う。そこでベストなパフォーマンスができるようにあと1年頑張っていきたい」と力を込めた。【奥岡幹浩】