【パリ=藤塚大輔】予選1組目に登場した日本記録保持者の田中希実(24=ニューバランス)は15分00秒62の9位となった。各組上位8位までに入れず、決勝進出を逃した。「目標が(1500メートルとの)両種目で決勝に残ることだったので、自分の中で五輪が終わってしまったという気持ちです」と率直な思いを吐露した。
想定外のスローペースとなり「どの位置につくのかを確立できていなかった」と迷った。残り4周から先頭に立ち、レースを引っ張る格好となったが、残り1周になると次々と追い抜かれていった。
「世界の舞台だからこそ焦りがあったりした。のびのび走れていたら、どんどん加速できてラストも止まらなくて…と思ったけれど、世界はそうはさせてくれない。現実を知った」
昨夏の世界選手権で8位入賞の田中は、今季も結果を残してきた。5月下旬のダイヤモンドリーグ(DL)ユージン大会5000メートルでは自己4番目となる14分47秒69で参加標準記録(14分52秒00)を突破。7月中旬のDLモナコ大会では今季自己最高の14分40秒86で3位に入った。世界で戦う術を身につけ始めているようにも見えたが、着順で通過となる五輪には対応できなかった。「成長」という言葉を繰り返しながら、力不足を受け止めた。
「海外のレースはタイムを狙うのでハイペースになる。『こういう展開になったらどうしよう』というのはなく、その日のその調子のままの順位になる。五輪や世界陸上はそうではない。1年に1回しかそういうレースに巡り合えていなかった。DLでも自分が支配するのではなく、ぶら下がってタイムを出すことしかできていない。今日は世界大会で初めてレースを動かしたけれど、それでも通用しなかった。まだまだ成長しないといけないけれど、今日で成長した姿を見せたかった。結局全然成長できていなかったという姿を見せることになってしまって、すごく悔しいです」
6日には1500メートル予選が控える。2種目での活躍を目指していただけに、今はモチベーションの保ち方に葛藤している。
「自分の目標は5000も1500も頑張ることだった。『1500だけでも頑張ります』と言いたいけれど、今はそこへ気持ちを持っていけない」
中3日で迎える1500メートルへ、どのように向かっていくのか。田中の五輪は、試練の幕開けとなった。



