次の目標は最新ジェット機超え? パリオリンピック(五輪)の陸上女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花(26=JAL)は、世界記録(72メートル28)超えを見据えている。今大会は65メートル80で制したが「現実で70メートルを投げたい」と大台突破を狙う。
実は今季は1つの悩みを抱えていた。「今までは『自分の記録は飛行機1機分』が自己紹介フレーズだったんですが…」。昨年9月に日本新記録の67メートル38を飛ばした後は、それを所属先のJALが保有する全長約67メートルの「エアバスA350型機」に例えてきた。
ところが今年1月、同社はさらに長い機体の投入を発表。最新機の全長は73・8メートルに伸び、鉄板の自己紹介ができなくなっていた。
ただ決して、世界記録を諦めているわけではない。その証しが今季も数試合で試してきた緑色のやり。これは練習拠点とするチェコの英雄のシュポタコバが世界記録を投げた時と同じモデルなのだ。
材質が硬く、やりを振る時の空気抵抗が少ない特徴があり、筋力や助走速度を高める方が使いこなせるとされている。今大会はメインのオレンジ色のやりを使ったが、昨夏の世界選手権では緑色のやりを製造するネメト氏(76年モントリール五輪男子やり投金メダリスト)から「君もいつか飛ばせるといいね」とエールを送られた。
北口自身は「そこにこだわる必要はない」と言うが、同時に「ちょっと意識している」と世界記録を頭の片隅に入れている。
パリでは念願の金メダルをつかみ、閉会式では日本選手団の旗手に抜てき。トレードマークの笑顔を振りまいた。それでもなお「まだ満足できない」と慢心はない。
世界新記録、ロサンゼルス五輪での連覇、そしていつかは「私の記録は最新ジェット機」という新たな自己紹介も?
夢は続いていく。【藤塚大輔】



