仲間の推しポイント、そして勝利へのカギをエブリン節で解説!パリオリンピック(五輪)バスケットボール女子日本代表の馬瓜エブリン(29=デンソー)が、あと3日に迫った本番開幕を前に、チームの魅力をたっぷり語った。
女子代表12人のプレースタイルや魅力を丁寧に分析し、自身の持ち味も照れ笑いを浮かべながらアピール。21日(日本時間22日)の強化試合ベルギー戦ではチーム最多タイ18得点を挙げ、存在感を示した。「走り勝つシューター軍団」が目指すのは、21年東京五輪での銀を上回る金メダル。29日の初戦は、その3年前の決勝で屈した女王米国と激突する。【取材・構成=奥岡幹浩】
【経験値 吉田亜沙美】PG 36歳(未定)165センチ 63キロ
メンバー中で間違いなく一番の経験値を持っているのが吉田選手。本当にいろいろな部分で頼りになります。コート上でも流れを変えてくれる存在。パスがしっかりと前に出るガードなので、彼女が入ると試合のテンポが加速して、自分たちの流れに導いてくれます。
【チェス 町田瑠唯】PG 31歳(富士通)162センチ 57キロ
町田選手からは、フロア全体を把握する視野の広さを強く感じます。いったいどこに目がついているかと思うほど(笑い)。こっちにドリブルしていけば、あっちの選手がフリーになって…と、チェスをしているかのような感覚でプレーしていて、憧れすら抱きます。
【口から 宮崎早織】PG 28歳(ENEOS)167センチ 56キロ
宮崎選手は、まるで口から生まれたような天真らんまんな女の子(笑い)。あの明るさにチームは助けられています。いざコートに立てば、世界一のスピードで相手を翻弄(ほんろう)。前から仕掛けていくディフェンス力もピカイチで、誰もまねできないレベルです。
【把握力 本橋菜子】SG 30歳(東京羽田)164センチ 55キロ
本橋選手も、高い経験値の持ち主。12人の中では吉田選手に次ぐ経験を持っていて、コート上で起きている状況を把握する能力にたけています。高い得点力と、広いコートビジョンを持ち合わせている選手はなかなかいません。チームを助けてくれる貴重な存在です。
【3P弾 山本麻衣】SG 24歳(トヨタ自動車)163センチ 56キロ
山本選手のディープスリーは相手チームにとって間違いなく脅威でしょう。遠い位置から高確率で決めてくる。それを防ごうと相手守備が前に詰めてくれば、今度はスピードを生かしてリングにアタック。ハイレベルなシュート力と速さで得点を量産してくれます。
【尊敬 林咲希】SF 29歳(富士通)173センチ 65キロ
チームが切磋琢磨(せっさたくま)する雰囲気をつくり出してくれるのが主将の林選手。みんなから尊敬されています。高確率で決める3点シュートは相手の脅威。体が左右に動いた直後でもバランスを崩さず打ち切れるのは、体幹を鍛えているからこそですね。
【心強い 東藤なな子】SF 23歳(トヨタ紡織)175センチ 65キロ
私もドライブを持ち味としますが、東藤選手のドライブはすごい。スピードに加えてテクニックもハイレベル。さらに今年は3点シュートの確率が上がりました。ゴール下に切れ込む力と外角シュートを併せ持つガード選手の存在は、チームにとって心強い限りです。
【気配り 宮沢夕貴】PF 31歳(富士通)183センチ 73キロ
私と誕生日が同じ(6月2日)宮沢選手は2歳年上で、とてもストイック。気配り上手でもあり、練習中からみんなの細かいところに気づいてくれます。チームにとってありがたい存在。プレーでいえばやっぱり3点シュート。1度入り出したら、もう止まらなくなります。
【吠え!! 馬瓜エブリン】PF 29歳(デンソー)180センチ 79キロ
エブリン選手の持ち味はですね、えーと…(笑い)。3点シュートは全員に求められている中で、ドリブルでリングにアタックを仕掛けることも私の役割。シュートを打ちにいき、ファウルをもらうことも大切になります。コート上での「吠え」にも注目してください!
【センス 赤穂ひまわり】PF 25歳(デンソー)184センチ 71キロ
ひまは、仲間をサポートするプレーやリバウンドなど、スタッツや得点に表れない部分でチームを助けてくれます。例えばオフェンスリバウンドでも、ボールがどこに落ちてくるのか、あらかじめ分かっているかのような位置取り。バスケットセンスが高い選手です。
【長い腕 馬瓜ステファニー】PF 25歳(デンソー)182センチ 78キロ
妹のステファニーは器用な選手。リングに向かう際に相手守備に止められても、しっかり切り返して反応できる。長い腕を生かしたブロックやリバウンドでも、チームを助けてくれます。海外でのプレーを経て、エースとしてプレーする自覚も出てきたと感じます。
【生命力(笑) 高田真希】C 34歳(デンソー)185センチ 74キロ
高田選手のすごいところは生命力です(笑い)。いい意味で、周囲に合わせなくても自分で道を切り開いていく。プレー面では、リングに一番近いところで体を張って奮闘。押し合いがあって体勢が崩れても、しっかりシュートを決めきるところが勉強になります!
<エブリンが考える1次リーグのカギは>
■VS米国 走らせない
16年のリオ五輪に私は出場していないのですが、米国戦では46点差をつけられました。しかし21年東京五輪では、1次リーグは17点差、そして決勝では15点差。その距離は少しずつ縮まっているとは思います。米国代表は個人技があってサイズも大きく、そして走れる選手がそろっている。それをどう止められるかが、15点差を埋めるポイント。まずは守備の部分をしっかりして、走らせないことが重要になると思います。
■VSドイツ 守備が大切
ドイツは2番(シューティングガード)や3番(スモールフォワード)のポジションにも190センチ後半ぐらいあるよう長身選手がそろっています。一方の日本は小柄な選手がほとんど。高さのミスマッチをつかれないように、どうやって守備していくかが大切なポイントとなりそうです。
■VSベルギー リズム崩したい
ベルギーとは東京五輪前から、練習試合も含め何度も対戦してきました。とても完成度が高いチーム。そんな相手のリズムを、どうやって崩せるかがカギ。パリ五輪直前に、このベルギーとの強化試合が組まれましたが、実は18年W杯でも、1次リーグ同組の相手と本番前に手合わせしていました。だから今回も、直前に対戦すること自体に違和感はなかったですね。
◆馬瓜(まうり)エブリン 1995年(平7)6月2日生まれ、愛知県出身。ガーナ人の両親を持ち、日本で生まれ育つ。14歳のときに家族で日本国籍を取得。愛知の名門桜花学園高時代に高校3冠を達成。WリーグのアイシンAWを経て、トヨタ自動車で20-21シーズンから2連覇に貢献。1年の休養後、23年6月にデンソーに加入し、皇后杯初優勝。自称「日本一親しみやすいバスケ選手」。21年東京五輪銀メダル。妹ステファニーとともにパリ五輪日本代表。趣味はキャンプなどアウトドア。最近の勝負飯はしゃぶしゃぶ。
◆パリ五輪バスケットボール 12チームが出場し、3組に分かれて1次リーグ(L)を実施。各組2位までと、3位3チームのうち上位2チームの計8チームが決勝トーナメント(準々決勝)に進む。1次Lはリール、決勝トーナメントはパリで開催される。日本(世界ランキング9位)は1次リーグC組初戦で、五輪8連覇を狙う女王米国(同1位)と激突。第2戦はドイツ(同19位)、第3戦はベルギー(同6位)と対戦する。
◆バスケ女子日本・東京五輪VTR 日本は準々決勝でベルギーに86-85で逆転勝利。準決勝でフランスを87-71で下し、初の五輪メダルを確定。決勝では米国に敗れ銀メダル。エブリンは全6試合に出場し、1試合平均5・8得点。



