10代の明るい笑顔が表彰台に輝いた。スケートボード女子パークの表彰式。2021年の東京から採用された新競技は、オリンピックの舞台に明るく、爽やかな風を吹かせていた。青春そのものである。
日本勢では開心那が2大会連続の銀メダルを手にした。東京五輪では史上最年少の12歳でメダリストとなり、あれから3年がたった。それでもまだ15歳である。さらに金メダルのアリサ・トルー(オーストラリア)は14歳、銅メダルのスカイ・ブラウン(英国)は16歳(ちなみに3選手とも母は日本人という)。
スケートボード、その女子種目においては10代選手が独占している。7月29日に行われたストリートでも金メダルの吉沢恋14歳、銀メダルの赤間凛音15歳、銅メダルのライッサ・レアウ(ブラジル)16歳だった。
空中でボードを巧みに操作する競技の特性上、筋力よりも軽量の体とボディーコントロールが求められる。男子に比べ、体形に変化が出やすい女子はこの世代がピークといえる。男子のストリート優勝が堀米雄斗25歳、2位ジャガー・イートン23歳、3位ナイジャ・ヒューストン29歳という結果を見ても一目瞭然である。
スポーツにおいて「年齢」はとかく話題になる。
卓球の男子団体準々決勝、日本が対戦した台湾には43歳の選手がいた。荘智淵(ソウ・チエン)。コーチとして監督の隣に並んでいただけに、ユニホーム姿で台の前に出てきたのには驚いた。第1試合のダブルスに加え、シングルスでも張本とも対戦。0-3と敗れたが、随所に好ショットを放ち対等に渡り合った。
その卓球でいえば、ルクセンブルクの61歳女子、シャリャン・ニは特に注目された。元中国代表選手で世界選手権優勝の実績もある。世界ランキング1位の孫穎莎(中国)に挑み、敗れた。卓球史上最多の6度目の五輪だった。「卓球は奥が深いスポーツ。いつまでも成長できる」という言葉を残している。
人は年齢に対し、固定観念や偏見を持つ。年齢差別と表現される「エイジズム」。特に高齢者に向けた言葉だが、それはスポーツにも当てはまる。ピークをとうに過ぎても競技を続ければ、「もうそろそろ」「後進に道を譲った方が」と“肩たたき”に遭う。
引き際。それは誰かが決めるものでなく、自身が決めるもの。そんな素晴らしい光景を目にした。
レスリングの男子グレコローマンスタイル130キロ級決勝。キューバの怪物、41歳になるミハイン・ロペスが前人未到の5連覇(08年北京~24年パリ)を達成した。五輪の個人種目では全競技を通じて初めての快挙だった。
その試合直後、黒のシューズを脱ぐと顔に近づけ、いとおしそうに握り締めた。そして、そっとマットの中央に置いた。自らの行動で引退を表明した。
「つらい瞬間だった。私たちが“武器”と呼んでいるものを引き渡した。レスリングシューズを履き替えるということは、幼い頃から続けてきたレスリングの旅から離れるということなんだ」
尊く、美しいシーンだった。勝ち続けた特別なレジェンドという背景こそあれ、誰にも邪魔されない崇高さに引きつけられた。
ふと有名な詩が思い浮かんだ。詩人サミュエル・ウルマン(1840~1924年)による「青春」。その一節。
年を重ねただけで人は老いない。理想を忘れた時に人は初めて老いる-。
老いも若きもない。人それぞれが、それぞれの人生を過ごす。どれもかけがえのないものばかりなのだ。【佐藤隆志】



