【パリ=竹本穂乃加】飛び込み男子で2大会連続出場の玉井陸斗(17=JSS宝塚)が2位となり、日本勢初のメダルに輝いた。合計507・65点だった。金メダルの曹縁(中国)は547・50点。

午前の準決勝では、最終6本目の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりエビ型)で高得点97・20点を記録するなどして合計477・00点をマーク。曹縁、楊昊の中国勢に次いで3位につけて迎えた決勝。玉井が完璧な演技で世界の強敵に立ち向かった。

1本目は407C(後ろ踏切前宙返り3回半抱え型)で88・0点。曹縁(中国)の96・90に次ぐ2位となった。2本目には207B(後ろ宙返り3回半エビ型)を成功させ、95・40の高得点で合計183・40。86・40だった曹縁を上回りトップに躍り出た。

3本目は大技109C(前宙返り4回半抱え型)を決めて94・35点を獲得し、277・75点まで伸ばすした。しかし曹縁97・20の最高得点をマークし合計280・50。前半を終えて一騎打ちの様相を呈した。

4本目は6245D(逆立ち後ろ宙返り2回2回半ひねり)で91・80点の合計369・55点で、トップの曹縁とは2・75点差という僅差。この時点で3位のランダル・ウィジャルスバルデス(メキシコ)とは39・05点差も開き、メダルは有力な状況となった。

だが、まさかのミスが出た。307C(前逆宙返り3回半)を披露した5本目は39・10と大失敗。このラウンド終了時点でウィジャルスバルデスにかわされ3位となった。

そして勝負が決まる最終6本目。5255Bで99・0という驚異的な高得点をマーク。一気に暫定首位に浮上した。最終の楊昊が安定した演技を披露したため2位フィニッシュとなった。

高校生らしからぬプロ意識を持つ玉井。昨夏の世界選手権は決勝1本目で腰を痛め、無念の途中棄権。在籍する須磨学園(兵庫)に帰ると、開口一番「すみませんでした」とわびた。

「僕が学校にできる恩返しは優勝すること。少しでも貢献できるように頑張ります」。所属する水泳部顧問の谷川誠さんは「彼は大人。(学校に)入れてもらっているという感覚でいる」と、教え子を頼もしく感じたという。

東京五輪後の22年4月に入学。部内トップ級の好成績を収めて受験を通過した優等生だが、1回だけ叱ったことがある。高校2年時。長期遠征の合間に「きついので学校を休んでもいいですか」と相談された。谷川さんは「それは違う」と一蹴。トップ選手ではあるが、いち高校生。「来れる日は来なさい」と注意した。以降は、大会後も、帰国直後も、片道1時間半かけて可能な限り登校。谷川さんによれば「公欠以外は無遅刻無欠席だと思う」。

今年6月末には、競泳部員の応援のため貴重なオフを使って県大会に駆けつけた。部内の飛び込み選手は玉井だけで練習拠点も別。それでも玉井の試合になると部員の応援が響く。パリ五輪へ向けて寄せ書きの応援メッセージも贈られた。

プロ意識を持った“普通”の高校生。「自分が日本人第1号でメダルを獲得したい」と乗り込んだ舞台で、従来の日本人選手の最高位だった4位(1936年ベルリン大会)を上回り、新たな歴史を刻んだ。

◆玉井陸斗(たまい・りくと)2006年(平18)9月11日、兵庫・宝塚市生まれ。3歳の時にJSS宝塚で水泳教室に通い始め、小1で飛び込みを始める。小5から本格的に寺内健氏らと練習。19年4月に日本室内選手権で12歳7カ月の史上最年少優勝。東京五輪は7位入賞。好きな食べ物は牛タン。家族は両親と兄。160センチ、55キロ。