【パリ10日=松本航】日本(世界ランク2位)は、4大会連続表彰台の銀メダルとなった。決勝で4連覇中の中国(同1位)に0-3で敗戦。第1試合のダブルスは、左手首から腕にかけてを痛める早田ひな(24=日本生命)と張本美和(16)の今大会初のペアで勝負手を打った。好調の平野美宇(24=ともに木下グループ)がエース格の第2試合、張本が第3試合で白星を目指したが、卓球王国の壁は高かった。
◇ ◇ ◇
張本美が差し出したラケットの先を、球は通り過ぎていった。その行く先を追い、うなだれた。5連覇確定で中国の国旗が揺れる客席。力尽きた16歳は「力を出し切ることはできたけど、まだ足りなかった。悔しい」と受け止めた。
奇襲を仕掛けた。第1試合に早田と張本美が登場。公式戦の経験がほとんどない2人で、ダブルス世界ランク1位の陳夢、王曼■(■は日の下に立)組を2-2と追い詰めた。最終第5ゲームも9-5。だが、あと2点が遠かった。逆に相手にマッチポイントを握られ、最後のフォアハンドが浮いた早田はその場にしゃがみ込んだ。鍵を握るダブルスを落とし「自分が先輩として足を引っ張った。あそこで取れていたら、試合展開は変わっていたと思う」。第2試合では平野がシングルス世界ランク1位の孫穎莎に0-3で完敗。第3試合も張本美が王の牙城を崩せなかった。
個の強さを最大限に生かしてきた。代表選考レースは2年。早田は「チームひな」と呼ぶコーチやトレーナーらと国内外を転戦し、木下グループの平野や張本美と練習時間や方法が違う。21年東京オリンピック(五輪)後に就任した渡辺武弘監督(62)は「女子のやり方がある。監督という意識はない」と調整役に徹した。日本代表として派遣される国際大会でも前日夜、所属元からのLINEで翌日の練習時間を把握し、最初の時間に合わせて会場に向かう。団体のベンチでも技術的な助言は主に選手同士。自身は2度の五輪出場後に酒類の営業を経験し「仕事をしやすい関係作りは代表チームづくりにもつながる」と生かした。
シングルス銅メダルの早田の負傷を、全員で補った。平野が準決勝まで3試合連続で1試合2勝を挙げ「私もしっかりやるしかない。責任感が生まれた」と個は結集した。一時は団体棄権もよぎった早田はベンチで左手を使わずに、右手で膝をたたいて仲間を鼓舞。試合では、痛みが出るバックハンドも駆使した。それでも中国の壁は厚く、高かった。平野は振り返って言った。
「自分の力は、かなり発揮できた。でも最後の1点、5ゲームで勝つには至らなかった。中国選手の層の厚さを感じたし、またリベンジできる時があれば、その時までに強くなりたい」
近くて遠い女王の背中。悲願成就への挑戦は続く。



