上半身裸のトンガ人旗手、ピタ・タウファトフア(34)が今日16日、ノルディックスキー距離男子15キロフリー(午後3時)に出場する。9日の開会式では氷点下2度の中、裸の上半身にオイルをテカテカに塗った姿で旗手を務め、世界中を驚かせた。16年リオオリンピック(五輪)の開会式も同様の姿で注目を浴び、競技はテコンドーに出場。今大会は昨年から始めたばかりのスキー競技に挑む。無謀とも思える行動は「やればできる」とのメッセージが込められている。
常識を超えている。極寒の開会式で上半身裸で行進したタウファトフア。競技でも、無謀とも思える戦いに挑む。「まだ人生で雪上には12週間しかいたことがない」と、経験不足を正直に明かす。目標は「明かりが消える前にゴールすることと、木に突っ込まないこと」。冗談めかしたが、堂々と五輪代表としてレースに臨む。
12歳だった当時の96年アトランタ五輪。ボクシング男子スーパーヘビー級で銀メダルを獲得したトンガ人のウォルフグラムに憧れた。強さを求め、護身術の1つとして、テコンドーを開始。16年リオ五輪では80キロ超級に出場した。リオ後は「新しい挑戦のため、最も困難なスポーツに挑む」と宣言し、雪すら見たことのなかった男がスキーに転向した。
昨年1月、ほとんど滑れない状態から体重を15キロ絞り、ローラースキーで鍛えた。資金不足で、欧州遠征では安宿に泊まってツナ缶を食べてしのぎ、今年1月のアイスランドの大会で代表権を得るまでに成長した。
飽くなき挑戦には理由がある。ホームレスを支援する施設で働いたことがあり、困難を突破する姿を見せることで「やればできる」というメッセージを送りたい。「五輪出場権を取ることで、ポリネシアの子供たちに、新たな扉を開きたかった。誰かを次の五輪へと駆り立てたい」と続けた。
平昌((ピョンチャン)入り後、記者会見では「テコンドーから雪の上に出た。次は水に関係したものかな。注目しておいてくれ」と話した。真偽は不明で、2年後の東京五輪では空手での出場も視野に入れているという。東京に来れば、リオ、平昌に続き、上半身裸で旗手を務める可能性も高い。まずは今日の距離でどんな滑りを見せるか。34歳のトンガ人からは目が離せない。
<ピタ・タウファトフア アラカルト>
▽生まれ 1983年11月5日、オーストラリア生まれ。父はトンガ人、母はオーストラリア人。幼少のころ、トンガへ移住。
▽第一人者 16年リオ五輪で、トンガ人として初めてテコンドーに出場(初戦敗退)。平昌五輪の距離15キロフリーに出場すれば、夏冬両五輪に出場した初めてのトンガ人になる。
▽SNS インスタグラム(pita_tofua)は16万人以上のフォロワーがいる。15日は、平昌五輪のボランティアとの写真をアップした。ツイッター、フェイスブックも駆使している。
▽サイズ 191センチ、100キロ。