女子マラソンの日本勢が3大会連続でメダルを逃した。金メダルを目標に掲げた福士加代子(34=ワコール)は、中間点付近で脱落。2時間29分53秒で14位だった。集大成の覚悟で臨んだ、マラソンでの初五輪で完敗。今後のマラソンについて「もうやんねー」と即答し、休養に入る可能性が高くなった。田中智美(28)は2時間31分12秒で19位、伊藤舞(32)は2時間37分37秒で46位に終わった。

 福士が開口一番、絶叫した。「金メダル、取れなかった~!

 ホント、しんどかった~!

 暑いけど、いろいろしんどすぎて。でも金メダルを目指したから最後まで頑張った。こんな頑張った自分はいない。特別な時間を過ごせました。もう泣きたい!

 泣いてるけど!」。涙でぬれた顔で、大声を上げた。

 中間点で先頭集団のスパートに遅れた。「足にきてた、呼吸が上がった」。細かいペースの上げ下げで体力を消耗。30キロ地点から体が動き始めたが、遅かった。「きつい、しんどい。でもゴールあるし、五輪だし」。14位でもゴールで両手を広げて拳を握った。「いつもは落ちるでね。たれるし。金メダルだと思って走った。金と言っておいてよかった。(目標は)口に出して言っておくもん」。

 6月には右足の炎症で調整レースを回避。「100%のメニューができてない。ずっとイライラしている」。練習量は予定の7割。永山監督は「金を目指す中でちぐはぐだった」。荒れた肌に苦しさがにじみ出たが「集大成の覚悟がなければ、何度も練習をやめていた」と踏ん張って、スタートラインについた。

 3月、代表を確実にするために名古屋ウィメンズ強行出場を表明。所属先には「なんで無理して走らせるんだ」と抗議の電話もきた。高校時代からの親友、瀬川さんには「罪人になった気持ちだ」ともらした。それでもリオを目指した。

 不安と不調で心が揺れ動いた。「いっぱい、開き直って、最後は丸裸になりました!」。今後のマラソンについては「もうやんねー。もう1歩も走らん」。13年世界選手権銅で引退も検討しており、今後は休養が濃厚。リオがこのまま最後のマラソンになる可能性もある。「頑張ったけど、負けたの。人生で一番頑張りました!」と吹っ切れた顔だった。【益田一弘】

 ◆福士加代子(ふくし・かよこ)1982年(昭57)3月25日、青森県生まれ。板柳中-五所川原工-ワコール。トラック種目で04年アテネ五輪から3大会連続出場。08年大阪国際でマラソンに初挑戦し、13年世界選手権3位。160センチ、47キロ。