陸上男子400メートル障害で東京五輪の参加標準記録を突破している黒川和樹(法大2年)が49秒76で制した。

いつも通りに前半からぶっ飛ばす。「なえさせてやろうと思った」。そう同じく参加標準記録をクリアしている早大4年の山内大夢を引き離していく。強い向かい風だった最後の直線は苦しかった。必死に腕を振り、重たい足を前へ動かした。何とか粘りきって、2位の山内に0秒14先着した。「山内さんに勝つのが第一だった。それが出来てよかった」。フィニッシュすると、満面の笑みで両腕を上げた。

黒メガネに、それがズレるのを防ぐため巻くヘアバンドがトレードマーク。9日の東京五輪テスト大会で出した48秒68は日本歴代10位タイだった。6月の日本選手権では3位以内に入れば、五輪の切符を手にするが、「優勝します。3位とか言っていたら、7位とかになっちゃう」。男子400メートル障害は参加標準記録を4人(安部、黒川、山内、豊田)が突破済みの激戦種目。その頂点だけを見据えた。