今度は89年ぶりの扉をこじ開ける。

陸上男子100メートルで9秒95の日本新記録を樹立した山県亮太(29=セイコー)が9日、オンラインで会見。

24日開幕の日本選手権(大阪)で3位以内に入れば、代表に内定するオリンピック(五輪)本番へ「準決勝で9秒台を出し、自己記録を更新して、今度こそ決勝に残りたい」と話した。過去に五輪で男子100メートルの日本勢決勝進出は32年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳のみ。山県は過去2度、日本人が何度もはね返された壁の突破に強い決意を示した。

9秒95は今季世界8位タイ。山県は、その資質を十分に持っているといえる。五輪で力を最大限に発揮できるタイプ。12年ロンドン五輪予選の10秒07、16年リオデジャネイロ五輪準決勝の10秒05は、ともに当時の自己ベスト更新。東京でもその再現、過去の自分を超えることができれば、夢の決勝の切符は、ほぼ確実に手にできそうだ。

自己記録が「11秒4」だった広島・修道中のころから9秒台を意識していた。10日で29歳になる。故障と復活を繰り返し、長い年月をかけ、日本最速の称号を手にしたが「まだまだ、競技人生で満足のいく結果を出せたわけではない」。世界のファイナリスト8人となって国立を走る青写真を、現実のものとする。【上田悠太】