金メダルを期待される男子400メートルリレーの布陣はどうなる? 日本陸連は2日、東京五輪の代表選手を発表。100メートル、200メートル代表の各3選手に加え、桐生祥秀(25=日本生命)、デーデー・ブルーノ(21=東海大)のリレー専用代表の2人が出場候補になる。第1走者から第3走者までは多田修平(25=住友電工)、山県亮太(29=セイコー)、小池祐貴(26=住友電工)の起用が決定的。アンカーは桐生が最有力だが、右アキレス腱(けん)の次第では他選手が起用される可能性も十分にある。

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代表選手が固まったことで、リレー侍のメンバーが見えてきた。5年前のリオデジャネイロ五輪は銀メダル。東京で目指すは金のみ。最強4人の候補者は100メートル代表の多田、山県、小池、200メートル代表のサニブラウン、山下、飯塚、リレー専門代表のデーデー、桐生の計8人。関係者によると、アクシデントがなければ、第1~3走者までの起用はほぼ固まった状態だ。

第1走者 多田で確定的だ。スタートダッシュは世界最高クラスで、左カーブも得意。17、19年世界選手権銅メダル時も第1走者で貢献し、経験も十分。本人の希望も強い。

第2走者 直線でバトン区間も含めると、120~130メートルほどの距離。その「エース区間」は9秒95の日本記録保持者・山県になる。リオ五輪時は第1走者だったが、山県自身は「どこでもいい。適材適所で」。第2走者は19年世界リレー大会などで経験済みだ。

第3走者 100、200メートルで事実上、代表権を持っていた小池は個人は100メートルに絞り、リレーに出る道を選んだ。曲走路を得意とし、力を発揮できる。日本陸連は400メートルリレーに万全な状態で挑むため、個人は原則1種目の出場に絞る方針を示していた。小池が200メートルを辞退した経緯からも、出場の見込みだ。

第4走者 唯一、争いが激化する区間。その中で、最有力候補はやはり桐生だ。5月下旬に痛めた右アキレス腱の状態が戻れば、文句なしで起用されるだろう。日本陸連の山崎一彦ディレクターは「陸連のチームドクターの診断も受け、何とか間に合うとの所見をいただいている」と話した。

日本選手権で100、200メートルとも2位に入り、株を上げたデーデーも、桐生の回復の経過で起用は現実的。後半に強い走りはアンカー向き。東海大ではアンダーハンドパスを日本に導入した高野進氏の指導を受けており、バトンの不安も少ない。桐生の力を決勝に温存するため、予選だけ走るパターンも考えられる。

日本選手権で不調だったサニブラウンは7月のリレー強化合宿(山梨)の不参加が大きく厳しい立場。逆転で出場を勝ち取るには、五輪200メートルで圧倒的な力を示す必要がある。精神的支柱としてチームをまとめる役割も担う飯塚も、ライバルが不調で自身も好調ならば、出場は0ではない。

大注目の400メートルリレーで、感動のフィニッシュ。最もおいしい部分を持っていくアンカーは誰となるか-。【上田悠太】

〇…男子400メートルリレーの専門要員として代表となった桐生は自身のSNSを更新し、思いを記した。「日本選手権から日が経ち、沢山の方々から連絡をいただきました。その文章の中で【オリンピックで桐生が走る姿が見たい、笑ってゴールする姿が見たい】と沢山のメッセージをいただきました。まだ、リレーメンバーで走れるかわからないですが、しっかりとメンバーを勝ち取り、応援していただいたファンの方々やスポンサー、チームのために全力で準備したいと思います。リレーの経験は誰にも負けない自信があります」。