東京五輪・パラリンピック聖火リレーは28日、2県目となる栃木県でスタートし、多種多様に趣向を凝らした企画が続いた。茂木町では真岡鉄道の蒸気機関車(SL)がランナーと並走し、栃木町では巴波(うずま)川の小舟遊覧船が聖火を乗せて運んだ。足利市では日本最古の足利学校周辺の石畳や、国宝に指定されている鑁阿寺(ばんなじ)の境内を通るなど、歴史的建造物も世界に伝えた。

SLの汽笛に加え、灰色の煙は映画の1場面のようだった。最高のロケーションの中で走った市貝町出身の野沢綺花さん(21)も「汽車に乗っている方にも手を振らせていただいた。皆さまに『すごく良い絵だったよ』と言っていただけて良かった」と感動した。乗船区間を務めた女性誌「CanCam」専属モデルで女優の石川恋(27)は「幼いころからなじみ深い川。青春時代を過ごした栃木市で一生の思い出になった」。川沿いの観覧スポットは密集状態の懸念から、事前抽選で人数制限する対策もとられた。

また、今回の最高齢104歳の箱石シツイさんが那須烏山市に登場した。那珂川町の現役理容師で、食と体の管理による健康をアピールする決意で臨んだ。強い雨の中でも補助を受けることなく完走し「こんな年寄りを応援してくださって感謝。転ばないように夢中で一生懸命歩きました」。約6分間、力強くトーチを持って聖火をつないだ。

◆28日の聖火リレー 2日間で栃木県を巡る初日は、足利市からスタート。足利市総合運動公園陸上競技場でタレント勝俣州和が第1走者を務めた。同市内では80年モスクワ五輪は金メダルを期待されながら日本のボイコットで出場できなかったプロレスラー谷津嘉章も登場した。28日は那須烏山市でゴール。29日は、那須町で「U字工事」の益子卓郎、福田薫からスタートし、日光市などを経て、宇都宮市で、バスケットボールBリーグB1の宇都宮の田臥勇太が県庁にゴールする。