2021年も東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの報道拠点になる方向で交渉が進む東京ビッグサイト(江東区)が20日、大会延期に伴う施設の貸し出し休止期間の変更を発表した。

同所は今夏、五輪・パラリンピックのIBC(国際放送センター)やMPC(メインプレスセンター)として利用されることが決定していたが、1年間の延期によって一般企業の利用不可期間がさらに延びる課題に直面。大会組織委員会が再確保を目指す施設の中でも、東京ビッグサイトが難関の1つとされていたが、来夏の大会に合わせた変更がなされることが一部エリアで決まった。

【東展示棟】(IBC)

▼変更前 2019年4月1日から2020年11月30日(月)まで貸し出し休止

▼変更後 延期後の大会日程終了後の一定期間(撤去工事完了の日)まで貸し出し休止

【西・南展示棟、会議棟】(MPC)

▼変更前 2020年5月6日から同年9月30日まで貸し出し休止

▼変更後 今夏は貸し出し可能になり、来年の同期間が貸し出し休止に

【青海展示棟】(大会用の仮設施設)

▼変更前 2020年7月15日から同年9月9日まで貸し出し休止

▼変更後 同期間の貸し出しが可能に

このほか、2021年の施設貸し出し休止期間の詳細については決定次第、発表するとしている。

東展示棟をIBCとする改修工事は長期間を要するため、昨年4月から組織委が借り切っていた。既に大半の放送用設備の設置が終わっている上、仮に現在の作業を取りやめて解体し、場所を変えれば来年の開幕に間に合わなくなる。そのため来秋まで、もう1年の貸し切り延長となった。東展示棟は東京ビッグサイト最大の面積を誇っている。

反対に、MPCとなる西・南展示棟と会議棟はいったん開放され、今夏以降の利用が可能になった。来年のゴールデンウイーク明けから五輪用の工事に再び入る。同施設の利用をめぐっては、展示会産業の国内最大業界団体「日本展示会協会」が今月7日に強い懸念を表明し、大会延期によって今後の展示会が開催できない場合について「(5万160社で)約1兆5000円の損失が生まれ、3年間の合計で13万3760社が約4兆円の売り上げを失う」と訴えていた。

その中で、全43の試合会場と国内外のメディアが集まる東京ビッグサイト、選手村など、今夏と同様の施設再確保を目指す組織委にとっては、交渉が前進していることを示す公式発表となった。ただ、日本展示会協会は代替会場の用意などを要求しており、条件面も含め、今後も丁寧な対応を続けていく必要があるとみられる。