国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は英BBC放送のインタビューで、新型コロナウイルスの影響で来夏も五輪が開催できなければ中止となる見通しを示した。バッハ氏は安倍晋三首相から21年開催が「最後のオプション(選択肢)」と伝えられたとも明かした。

21年以降の延期となった場合、再延期できない理由として「大会組織委員会が3000人、5000人もの人を雇い続けることはできないから、理解できる。毎年、世界中のスポーツイベント日程を変更することはできないし、選手を不確実な状況には置いておけない」と語った。

組織委の森喜朗会長も日刊スポーツのインタビューで、来夏も新型コロナの終息が見込めなかった場合は「(22年への)再延期はない。中止になる」と断言していた。

21日、オンライン会見に応じた組織委の武藤敏郎事務総長は、IOCと組織委の間に「来夏に開催できなければ中止」という共通認識があるかと問われたが「共通認識があるという理解はしていない」と否定。バッハ氏の「最後のオプション」発言についても「その言葉はうかがっていないし、記憶にない」と述べた。

しかし、ある大会関係者は「22年には冬季五輪もユース五輪もある。再延期はありえない」と話す。五輪主催者と大会運営の各トップが同様の見解を示したことで「来夏に開催できなければ中止」という考え方は事実上、IOCと組織委の共通認識と見る方が自然な状況だ。【三須一紀】