2度目の開幕1年前を迎えた東京五輪は、ここから正念場を迎える。簡素化に大きく立ちはだかるのは大会主催者の国際オリンピック委員会(IOC)。簡素化案、追加経費の積算は9月、新型コロナ対策は年内を目途にまとめる。中止がちらつく中、国内機運を上向かせ大会開催にこぎつけるには、大会組織委員会の踏ん張りが必要不可欠。IOCの“岩盤規制”をいかに崩せるかが鍵になる。
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コロナ危機がなければ24日に国立競技場で華々しく開会式が開かれるはずだった。来夏はそうはいかない。新型コロナ対策で東京都を始めとした自治体の財政は圧迫され、社会経済も大打撃を受けた。都にも組織委にも、財政的な余裕はない。
政府、都、組織委で設置する五輪開催に向けた新型コロナ対策会議が9月に始まる。その流れで無観客や観客の間引きも検討課題に挙がる。既に448万枚のチケットが販売済み。間引くとなると「新規販売の取りやめだけでは間に合わない」(組織委幹部)といい、購入者の間で抽選をする可能性も出てくる。
無観客にするのであれば10月中にも判断したい思惑もある。大会関係者は「無観客なら仮設席を建設する必要がなくなる。暑さ対策も警備もいらなくなる」と話す。無観客になれば約900億円のチケット収入がゼロに。その上、仮設席などの費用がかかれば、無駄な経費がかさむ一方。その二重苦を避けるためには、10月ごろの判断が望ましいという。
感染状況が日本国内のみ落ち着いていた場合、来日できない海外チケット分を再利用し、日本の観客に優先的に回す方策も一部で挙がっている。
経費削減を世間に印象づける意味で「開閉会式は目に見えやすく簡素化の象徴になる」(組織委幹部)とし、組織委式典チームは短縮案をまとめ、2時間近くを割く選手行進にメスを入れた。個人、団体問わず参加選手を1種目1人とするもの。500人規模の大選手団を編成する大国も数十人に削減でき、時間も2時間40分に短縮できた。しかし、IOCから放送権契約の観点から「3時間30分以上は必要だ」と突き返された。
手厚すぎる待遇が問題視されるIOC委員ら五輪ファミリーの渡航費、滞在費の削減に手を付けられるかにも注目が集まる。組織委がいくら働きかけても、来年会長選挙を控えるバッハ会長が、票田となる各委員の風当たりを気にしすぎれば、断行は不可能。課題は山積だ。【三須一紀】


