陸上男子400メートル障害で世界選手権2度の銅メダルに輝いた為末大さん(42)と女子マラソン五輪2大会連続メダリストの有森裕子さん(53)が、世界40カ国以上でスポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいる「ローレウス」の新アンバサダーに就任した。

今、スポーツ界は新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けている。3日、記者会見に登壇した2人は、東京オリンピック(五輪)が1年延期になったことにも言及した。

為末さんは「やっちゃおうよという感じです。できないかもしれないですけど。五輪に使ったお金は止めたって返ってこない。でも、今、止めればここから必要なお金を制限できる。このお金をどう考えるかだと思う」と述べた。

その上で「世界で人の流れが止まるのは、各国の分断を生み、外交上も私はよくないと思う。本質的には環境問題、人の移動を安全にできるか、サイバーセキュリティーも含めて、やっていかないといけないと思うが、オリンピック・パラリンピックを開催するのに、前提とされる条件をクリアしていくのは(今後)世界、地球の環境を平和に保つ上で大事なこと。そのリトマス紙(判断基準)に向けて、ダメかもしれないけど、頑張ってみようと日本が宣言するのは、私はいいことだと思う」と持論を展開した。

有森さんは「現状が早くどうにかなって欲しい。そこがあってから、オリンピック、スポーツを考えられると思っている」と語った。

00年に設立されたローレウスは、スポーツの力で生活を豊かにすることを目指している。本部はロンドン。まだ日本での認知度は高くないが、そのメンバーには、さまざまな競技の世界的レジェンド約250人が名を連ねる。サッカーのカフー(ブラジル)、ルイス・フィーゴ(ポルトガル)、72年ミュンヘン五輪で7つの金メダルを獲得した競泳のマーク・スピッツ(米国)、体操女子のナディア・コマネチ(ルーマニア)ら。日本人では内村航平、香川真司、杉山愛さんも大使を務める。主催する「世界スポーツ賞」の授賞式は「スポーツ界のアカデミー賞」とも称される。18年には女子テニスの大坂なおみが年間最優秀成長選手賞に輝き、日本人初の受賞となった。