来日中の国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長(66)と、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)らが16日、東京・晴海の組織委オフィスで合同会見を行った。

冒頭、森会長が「バッハ会長の来日に際し、開催強硬論を唱える森を抑えに来た、というようなフェイクニュースが多く流れていたが(バッハ氏の開催確信発言を受け)その疑念が払拭(ふっしょく)されたはず」とあいさつ。その後、質疑応答が始まり、バッハ会長に質問が集中した。

菅義偉首相や小池百合子都知事らと会談した際、バッハ氏が海外からの大会参加者に「ワクチン接種」を希望する考えを示したことについて、バッハ会長はこう説明した。

「私が言ったのは『すべての努力をしていく』ということだ。多くの参加者に対し、できる限りワクチンを受けていただきたいと思う。それを明確に申し上げたい。うわさが流れているようだが、我々は『義務だ』とか『受けていないとダメだ』とは言ったことはない。できるだけ(接種に向けて)説得していく」

その上で「まずは医師や看護師のような医療従事者や、我々を社会で生かしてくれる方々への接種が1番になる。その次、もし、さらにワクチンを入手可能になるのであれば、IOCがコストを見ます」とバッハ会長自ら、費用負担を約束した。

NOC(各国・地域オリンピック委員会)等と協力し、接種人口を広げていく考えといい「可能な限り、多くの人に日本へ来てほしい。日本の国民の方々も『守られている』と安心してくれることでしょう」とも述べた。

ワクチン接種について「選手や大会関係者だけでなく、外国人の観客にも接種を希望するか」との追加質問には「東京の組織委が考えて、日本の政府などによるタスクフォース(新型コロナ対策調整会議や担当者の作業部会)が決めることだ。必要だと考えれば、適切だと思えば、その措置が決定されるだろう」と話すにとどめた。

最後に「ワクチンが間に合った場合、参加者へ接種を義務付けるか」と尋ねられると…

「No!」

一言だけ返し、会見は幕を閉じた。【三須一紀、木下淳】