東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が辞意を固めたことが11日、関係者への取材で分かった。12日に開かれる組織委の理事や評議員による緊急会合で表明する見通し。後任の会長には日本サッカー協会(JFA)相談役の川淵三郎氏(84)が就任する方向で最終調整している。

森会長は3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言。それが女性蔑視に当たるとし、世間から批判の声が上がっていた。

その責任を取り4日には辞意を固めていたが、周囲の説得などもあり一時は続投を表明していた。同日の会見では発言について謝罪、撤回をしたものの、世論の批判は収まらず、その責任を取る形で辞意を固めた。

新型コロナウイルスがまん延し始めた昨年2、3月、森氏はアスリートや日本経済に打撃を与えないよう、大会の中止を防ぐために奔走。この頃、親しい関係者には、延期を決められれば自分はいつ辞めてもいいと漏らしていたという。高齢や体調面を考えてのことだった。

ただ、開催準備を進める上で国内外の調整役が必要。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長からも絶大な信頼を置かれている森氏は、残り約1年半のかじ取りを完遂する道を選択した。

今月2日、自民党本部の会合で「私たちは、コロナがどういう状況であろうと、必ずやる。つまり、やるかやらないかという議論は抑えて、どうやってやるのか。そして新しい五輪を考えようと、この際」と話し、このことも一部からコロナ禍を軽視していると批判を集めた。

しかし、開催可否を決められるのはIOCのみ。組織委は運営計画を練ることが役割で、どんな場面に遭遇しても対応できるように準備を進めるしかない。関係者は「世間は森会長が全てを決められると思っているがそうではない。準備を進めることしかできない組織委の役割を説明しただけなのに、批判を受けて悔しい」と漏らした。

後任は川淵氏で最終調整している。森氏が一手に引き受けてきた五輪への逆風を、今度は川淵氏が受けることになる。この苦境を乗り越え、五輪を成功させることができるか-。その手腕に期待が懸かる。