辞任を表明した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の後任として組織委から就任要請を受けた橋本聖子五輪相(56)が、要請を受諾する方向で最終調整していることが17日、複数の関係者への取材で分かった。組織委は18日に評議員会と理事会を開催。評議員会で橋本氏を理事に選任した後、理事会の互選で新会長に選ぶ流れ。会長になれば国務大臣規範(兼職禁止)により、五輪相は辞職する見通し。

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波乱続きだった次期会長選出の流れは、森氏の辞意が判明した直後に本命として名前が挙がっていた橋本氏に落ち着きそうだ。「候補者検討委員会」の第2回会合がこの日午前、都内のホテルで行われた。委員長の御手洗冨士夫組織委名誉会長ら8人が参加。約1時間半の会合で、候補を橋本氏に一本化した。

橋本氏はこれまで、会長就任の場合、国務大臣規範で五輪相を辞任する必要や政治的中立性の観点から自民党を離党すべきとの指摘もあり、就任には難色を示していた。五輪関係幹部にも会長職はやりたくないと漏らしていたという。

さらに7年前、日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化本部長だった際、フィギュアスケート男子の高橋大輔にキスを強要したと週刊誌が報じた。森氏の女性蔑視発言の後任が、セクハラ問題を抱えていれば海外メディアなどがこぞって報じ、再燃する恐れもはらんでいる。

橋本氏はこの日夜、取材に応じ要請について「プロセスにのっとり進められていく委員会なので、私からは申し上げることはできない」と何も語らなかった。関係者によると一本化を決めた検討委の中で、御手洗氏と組織委の武藤敏郎事務総長が橋本氏の説得へ自信をのぞかせた。菅政権内も「女性と若い人」が適任という考えを示していた。

15日には検討委のメンバーでもあるJOC山下泰裕会長が候補として急浮上。関係者によると16日夜にも武藤氏が周囲に山下氏の候補案について話し、様子を探っていた。ただ御手洗氏は一貫していた。森氏が女性蔑視発言で辞任した経緯から、まずは女性会長を提案すべきと当初から考えていたという。それでも橋本氏は固辞する公算が大きかったため、次に浮上するのが山下氏という流れになる見方があった。

結果的に御手洗氏ら財界トップらの説得や、官邸の意向から外堀を埋められた形。それを受け組織委は新会長を選ぶ段取りに既に着手。18日午前に検討委の第3回会合を開く。定款では会長に就任できるのは理事だけ。川淵三郎氏らがいる評議員会を開き、橋本氏を新たに理事に選任。その後、理事会を開き、理事の互選で正式に新会長が選出される。