東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の辞任を受け18日、橋本聖子新会長(56)が誕生した。候補者人選の裏側や、五輪開幕まで150日余りとなり予想される苦難の道のりなどを解説する。

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東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子新会長(56)がまず直面する大きな課題は観客問題だ。政府、東京都、組織委の3者が昨年12月、五輪コロナ対策の中間整理を取りまとめた。それによれば今春に観客の在り方について決定する。

2月26日開幕のJリーグ、3月26日開幕のプロ野球の観客制限を参考にしたい考え。複数の関係者によると、それよりも前に海外から来る観客の入国を認めるか否かを決断する「2段階方式」で観客の取り扱いを決める案も出ている。

アスリート出身で自身も夏冬7度、五輪に出場している橋本氏はコロナ禍で延期した大会でより一層、苦労したアスリートたちを第一に考えた大会にしたいと思っている。関係者によると五輪相時代、所管する内閣官房内ではコロナの変異種などが持ち込まれる可能性がある海外客について見送るべきではないかという声が強まっていたという。

海外客は「水際対策」のため政府の所管。それでも五輪コロナ対策は3者で協議するため組織委の考え方を主張することもできる。直前まで五輪相だった橋本氏は政府と組織委、両者の思惑を掌握しながら調整できる。この点、橋本氏が新会長に選ばれた利点だ。

関係者によると選手第一の思いが人一倍強い橋本氏は、開催にこぎつけることが優先事項と考えているという。14日間の隔離免除や公共交通機関の利用容認が検討されている海外客について、不安に感じている国民は多い。これらを踏まえ、橋本氏が海外客の見送りを提案する可能性もある。

就任翌日に野党の反発を受け自民党を離党するなど早速、後手に回った。開催実現に向け、これ以上のブレーキは許されない。1カ月後には1年間待たされ続けた聖火が、日本中を駆けめぐるスタートを迎えるのだから。【三須一紀】