日本ソフトボール協会は23日、東京五輪代表の15人を発表した。投手、捕手ともに「3人体制」なった。00年シドニー、04年アテネ、08年北京の五輪は投手4人、捕手2人だった。この一見、定石とは異なるようにも思える選考の理由を、宇津木麗華監督(57)は、都内で行われた会見で、説明した。

まず指揮官は「チーム数が少ない」と日程面をあげた。8チームだった北京五輪は10試合を戦ったが、東京は6チームで、最大でも6試合となる。オープニングラウンド(21~26日)は5チームの総当たり制。そして上位2チームが金メダルマッチとなる決勝に進み、3、4位は27日の3位決定戦に回る形となる。

そして「投手3人」で乗り切る決断にした経緯を説明した。「上野投手、藤田投手は1試合を投げきれるピッチャー。いろんなピッチャーを使うより、エースとして」。先発の2本柱となる上野由岐子と藤田倭(ともにビックカメラ高崎)は完投能力が高い。全幅の信頼を置き、フル回転を託した。そして3人目となった後藤希友(トヨタ自動車)には「ワンポイント」という役割を求めた。投手3人目を誰にするかも、選考の焦点だったが、上野、藤田の2人は右腕だけに、サウスポーの後藤が選ばれた。20歳という若さが持つ成長力にも期待した。

15人という限られた枠の中、投手の枠を1つ減らし、「捕手3人」。定石を外しても、それが金メダルへの最善策だと判断した。「キャッチャーは第2の現場監督。特にこの3人のキャッチャーはそれぞれ持っているる能力が違う。3人のキャッチャーがいて、いろんな発想を監督に出してもらったら、一番の力になるんじゃないか」と理由を説明した。

そして個々の特性も説明。正捕手の我妻悠香(ビックカメラ高崎)については「性格ものすごく優しい。ピッチャーからすれば投げやすい」。峰幸代(トヨタ自動車)は北京五輪を経験しているだけに「豊富な経験を生かして、いざ何かあっと時の強さが持っている。そこで使いたい」。清原奈侑(日立)に関しては「独特の考え方、発想がピッチャーを生かせる。特にアメリカは国際ゲームで独特の戦い方でくる。それを返せる。すごく斬新なものを持っている」と述べた。

上野は先発2人のフル回転で、3人投手制について、「特に気にならないです」と頼もしくきっぱり。また「率直にどの試合も落とせないというプレッシャーが1戦1戦にある。(オープニングラウンドで)2位以上に入らないと金メダルを取れないシステム。6戦すべて全力で戦うことを想定して戦わないといけない」と語った。藤田は「監督の戦略にはまれるように、コンディション作り、スキルアップしていきたい」と力を込めた。

 

 

代表15人は以下の通り

・投手

上野由岐子(38=ビックカメラ高崎)

藤田倭(30=ビックカメラ高崎)

後藤希友(20=トヨタ自動車)

 

・捕手

我妻悠香(26=ビックカメラ高崎)

峰幸代(33=トヨタ自動車)

清原奈侑(29=日立)

 

・内野手

渥美万奈(31=トヨタ自動車)

市口侑果(28=ビックカメラ高崎)

山本優(32=ビックカメラ高崎)

内藤実穂(26=ビックカメラ高崎)

川畑瞳(24=デンソー)

 

・外野手

山田恵里(37=デンソー)

原田のどか(29=太陽誘電)

山崎早紀(トヨタ自動車)

森さやか(ビックカメラ高崎)