東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの観客上限を巡る問題で運営主体の組織委員会では、無観客やむなしの声が強まっていることが11日、複数の大会関係者への取材で分かった。

新型コロナウイルスの感染が収まらず、今月末に延長された緊急事態宣言がさらに延びて6月にずれ込む可能性もある。

<東京五輪のコロナ対応を巡る経過>

◆3月20日 政府、東京都、組織委とIOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者協議で海外観客の受け入れを断念することが正式に決まった。

◆同25日 東京五輪の聖火リレーが福島県のサッカー施設Jヴィレッジからスタート。11年女子サッカーW杯ドイツ大会で初優勝した「なでしこジャパン」メンバーが第1走者に。

◆4月15日 自民党の二階俊博幹事長が、大会について中止の選択肢もあることに踏み込んだ。

◆同21日 IOCバッハ会長が理事会後の記者会見で、東京都に再発令される見通しの緊急事態宣言について「東京五輪と関係がない」と述べ、国内世論の批判を集めた。

◆同27日 丸川珠代五輪相が閣議後の会見で大会の医療提供体制をめぐり、東京都に苦言。前回の五輪相時代も含め小池百合子知事との対立構図が再燃。

◆同28日 国内観客数の上限方針について5者協議で「判断は6月に国内のスポーツイベント等における上限規制に準じることを基本に行う」と先延ばしした。

◆5月5日 米有力紙ワシントン・ポスト(電子版)が日本に対し東京五輪を中止するよう促すコラムを掲載。IOCバッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼び、「地方行脚で食料を食い尽くす王族」に例えて「開催国を食い物にする悪癖がある」と非難した。

◆同6日 IOCなどは東京大会に参加するアスリート対象のワクチンを、ファイザー社(米国)と共同開発のビオンテック社(ドイツ)から無償提供を受けると発表した。

◆同7日 競泳女子で東京五輪代表の池江璃花子が、自身のSNSを更新。開催を巡りさまざまな意見がある東京五輪についてSNSに代表辞退や開催に反対してほしいとの意見が届いたことに言及。「私は何も変えることができません。この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです」と心境を吐露した。