オムニアム世界女王の梶原悠未(23=筑波大大学院)が、大会3連覇を飾った。全種目で1位と圧倒的な強さで東京五輪での金メダルへ、期待がふくらむ走りを見せた。男子スプリントは、同種目のスペシャリスト深谷知広(30=日本競輪選手会)が制し、東京五輪代表の新田祐大(34=同)は3位だった。

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梶原が4種目すべてで1位を獲得する圧倒的な強さで3連覇を飾った。第2種目のテンポレースでは、単独で飛び出すと他の10人をまとめて周回遅れにする、脚力の違いを見せつけた。

世界王者のみが着用を許されるチャンピオンユニホーム「アルカンシェル」。その姿で走る初めてのレースだった。「世界王者らしい走りを意識して、自分自身を追い込んで優勝を達成できた」と喜ぶとともに「ジュニアからずっとあこがれてきたジャージー。五輪で金メダルを取る、という覚悟を誓って走ることができた」と、誇らしげに胸を張った。

コロナ禍により五輪が延期。さらに、国内外の実戦にメドが立たなかった。それでも「五輪の延期でたくさん練習する時間ができた。毎日の練習は、全力以上を出すことを意識してきた」と振り返る。国内無敵の梶原は、バイクを世界の強豪選手に見立てたり、男子のロードレースに参加するなど、スピードとレース勘を養い続けた。

大会3連覇はあくまで通過点。「世界選手権では他の選手の反応やスピードも速くなる。ミス1つない、完璧なレース運びが、世界でもできるように」。女王の視線は、金メダルだけを見据えている。【山本幸史】

 

○…スプリントは男子が深谷知広(30=日本競輪選手会)女子は太田りゆ(26=同)が、ともに東京五輪代表組を破って優勝した。深谷はW杯で銀メダル獲得するなど同種目のスペシャリスト。ケイリン優先の方針で東京五輪代表から漏れた経緯もあり「パリ五輪では、ケイリンと同等か、それ以上に優先される種目にしたい」と4年後を見据えた。

 

◆梶原悠未(かじはら・ゆうみ)1997年4月10日生まれ、埼玉県出身。筑波大大学院。高校から自転車を始め、17年W杯第3戦(カナダ・ミルトン)で初の金メダル獲得。20年2月世界選手権(ベルリン)オムニアムで優勝し、日本女子自転車競技で初の世界王者となった。155センチ、56キロ。血液型O。

 

▽女子オムニアム(1)梶原悠未(筑波大大学院)(2)鈴木奈央(日本競輪選手会)(3)内野艶和(日本競輪選手養成所)

▽男子スプリント(1)深谷知広(日本競輪選手会)(2)山崎賢人(同)(3)新田祐大(同)

▽女子スプリント(1)太田りゆ(日本競輪選手会)(2)梅川風子(同)(3)小林優香(同)

▽男子スクラッチ(1)橋本英也(日本競輪選手会)(2)新村穣(日本競輪選手養成所)(3)窪木一茂(同)

▽男子マディソン(1)チーム・ブリヂストンサイクリングB(近谷涼、沢田桂太郎)(2)チームブリヂストンA(橋本英也、孫崎大樹)(3)日本競輪選手養成所(窪木一茂、新村穣)

 

◆オムニアムとは 1日で中距離4種目を戦い、合計ポイントを争う。

(1)スクラッチ トラックで行われる個人ロードレースのようなレース。今回女子は8キロで行われた。

(2)テンポレース (2)と同じ8キロで、毎周回1位通過すると1点、周回遅れにすると20点が加算される。

(3)エリミネーション 規定周回ごとに最後尾の選手が脱落するサバイバルレース。残り2人になるとスプリント勝負。

(4)ポイントレース 男子25キロ、女子は20キロ。10周ごとに1位に5点、2位に3点、3位に2点、4位に1点が加算、最周回はポイントが倍になる。このレースのみ、(1)~(3)の持ち点に上乗せしてポイントが加算される。