
【特別編集委員コラム】同期なんです 1993年に誕生「ベイスターズ」/連載11
横浜DeNAベイスターズが、1998年(平10)以来25年ぶりの優勝に向かって突き進んでいます。当時ベイスターズ担当記者を務めていた特別編集委員の飯島智則は、三浦大輔監督が胴上げされる日を待ち焦がれています。
その他野球
◆飯島智則(いいじま・とものり)1969年(昭44)生まれ。横浜出身。93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。
「ホエールズ」から変更 30周年
私、横浜ベイスターズとは同期なんです。
私が日刊スポーツに入社したのは1993年(平5)。この年から球団は、前年までの「横浜大洋ホエールズ」から大洋漁業(現マルハ)の企業名を外し、「横浜ベイスターズ」と名乗るようになりました。つまり、ベイスターズは今年で30周年というわけです。
同じ年に発足したJリーグは、「ヴェルディ川崎」「横浜マリノス」などと企業名ではなく地域名を掲げ、プロ野球との差として挙げられていました。その年に1球団だけ、Jリーグと同じように地域名を前面に押し出したわけです。
大洋漁業は1993年9月1日に社名を「マルハ」に変更するため準備を進めており、先んじて球団名も変えることになりました。
捕鯨反対の国際情勢もあり、鯨を意味する「ホエールズ」の削除が決まり、「ベイブリッジズ」などの案も出た中で、最終的に「ベイスターズ」になりました。
熱い思いで書いた優勝への軌跡
私がベイスターズ担当記者になったのは、優勝前年の1997年(平9)でした。
チームは6年連続のBクラスに低迷していましたから、上司は「原稿量も多くなく、注目度も高くない球団なので、若手の登竜門にはちょうどいい」と考えたのでしょう。私は初めてのプロ野球担当でしたから。
ただ、その予想を裏切ってチームは2位に躍進し、夏場は連日の1面記事を書くことができました。翌1998年は38年ぶりの優勝で、もう、毎日のように記事を書きまくりました。
今の記者には信じられないでしょうが、私1人でナイター後の短時間に1面、2面、3面をすべて書いた日もありました。試合の原稿だけでなく周辺の盛り上がりも取材して、休みも少なかったと記憶しています。
それでも苦には感じませんでした。むしろ、楽しくて仕方がなく、休日でも横浜スタジアムへ行って、ライトの外野席から応援していたぐらいです。試合前のシートノックで、ライトを守る佐伯貴弘選手と目が合い、あとで「何してたの?」と言われたこともあります。
当時の記事を読み返すと、あまりに下手くそで目を覆いたくなるのですが、夢中になって書いているというか…記事に熱い思いを込めていたことは、今も伝わってきます。
当時は28歳。野村弘樹、進藤達哉、斎藤隆、島田直也、五十嵐英樹らと同学年で、谷繁元信、石井琢朗、佐伯らが1歳下と、同年代の選手たちを取材していました。
選手たちも、そして取材する私も初めて経験する優勝争いでした。舞い上がりながらも、自分なりに全精力を注いで仕事に打ち込んでいた、人生の中でも貴重な年ではないかと思います。
優勝祈念企画「1998年のベイスターズ」
今年は1998年以来、25年ぶりに優勝する絶好のチャンスです。ベンチを見ると三浦大輔監督、石井琢朗コーチ、斎藤隆コーチ、鈴木尚典コーチと、当時の主力選手が並んでおり、私としたら、どうしても力が入ります。
石井琢朗や斎藤隆は球団を出ていって、戻るチャンスがなかなかこなかったので、彼らがベイスターズのユニホームを着ている姿は感慨深いものがあります。
鈴木尚典も、ジュニア世代の育成に携わったり、BCリーグ神奈川フューチャードリームスの監督を務めるなど、目立たない場所で、地道に野球と向き合ってきました。
優勝当時は主力の中で年下だったこともあり、自分のことだけを淡々とこなす、マイペースな末っ子という立ち位置でした。しかし、たくさんの苦労をして、いい男に成長したと感じています。
収穫の秋を待ちきれず、「25年ぶりの優勝祈念企画 1998年のベイスターズ」をスタートします。優勝した1998年の思い出をたっぷり振り返りながら、2023年の横浜DeNAベイスターズに声援を送りたいと思います。
コラム「手帳の余白」
日刊スポーツに「特別編集委員室」が立ち上がりました。取材経験が豊富、かつ表現力が豊かなライター集団。「日刊スポーツ・プレミアム」を中心に、健筆を振るいます。飯島智則編集委員は、コラム「飯島智則 手帳の余白」を随時掲載。どうぞお楽しみ下さい。

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。
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