【痛恨】三浦大輔「開幕はオレ」を信じ切り…2年目の川村丈夫が1安打完封/連載1
横浜DeNAベイスターズが、25年…四半世紀ぶりの優勝に向けて奮闘しています。4月は首位で駆け抜けたものの、5月は連敗もあって負け越し、交流戦での巻き返しを狙っています。
球団も、38年ぶりの優勝を果たした1998年を再現するセレモニー「BACK TO THE 1998 BAYSTARS」を企画したように、狙うは頂点だけと、機運は高まっています。
ベンチには、三浦大輔監督をはじめ、石井琢朗コーチ、斎藤隆コーチ、鈴木尚典コーチと、当時の主力が首脳陣として控えています。チーム作りも、進藤達哉スカウト部長兼編成副本部長と、当時の主力選手が担っています。1998年のV戦士たちが、若い選手を優勝に導くことができるでしょうか? 今まさに正念場です。
優勝当時のベイスターズ担当記者で、特別編集委員の飯島智則が、栄冠をつかみ取った1998年のシーズンを連載で振り返りながら、熱いシーズンを送るベイスターズにエールを送ります。
三浦監督が胴上げされる瞬間を心待ちしながら…
プロ野球
▼「1998年のベイスターズ」連載一覧▼
主力がこぞってピーク…特異年
1998年(平10)のことは、よく覚えています。
私が28歳、プロ野球担当記者になって2年目の若手でした。当時の主力選手たちと同年代です。
同い年が野村弘樹、進藤達哉。斎藤隆、島田直也、五十嵐英樹。1歳下に谷繁元信、石井琢朗、波留敏夫、佐伯貴弘…
あとから思えば、主力選手の年代が固まりすぎていたから世代交代がうまくいかなかったのでしょう。
多くの選手が、この1998年にピークを迎えていました。だからこそ、とてつもない強さを生み出したのです。
シーズン前の下馬評は決して高くありませんでした。前年97年に首位ヤクルトを追い詰める2位になったものの、1960年(昭35)以来37年も優勝から遠ざかっている球団は、2年連続で躍進するほどの実力はないと目されていました。
オープン戦では、連打が続く「マシンガン打線」が23イニング無得点など不発で、権藤博監督が「引き潮打線だな」と自虐的に評していたほどです。
前年の覇者で、野村克也監督が率いるヤクルト、長嶋茂雄監督が補強を重ねた巨人、さらには闘将・星野仙一監督が牽引する中日が優勝候補に名を連ねていました。
しかも、4月の横浜は9勝9敗の5割。このうちビジターは0勝6敗と、1つも勝てませんでした。
また、Bクラスへ逆戻りじゃないか?
担当記者の私もそう思っていたぐらいです。さて、どこで勢いがついたのか? のちのち振り返ってみると、やはり阪神との開幕3連戦は大きな鍵を握っていたと思います。
担当記者としては、少しばかり恥ずかしい記憶をたどりましょう。
この年のキャンプで、25歳の三浦大輔は報道陣の前ではっきりと宣言していました。
「オレは開幕投手を狙います。なぜって? 目立つからですよ。最初に出ていく役は、自分に似合っていると思います」
投手陣は絶対的クローザーの佐々木主浩が30歳、野村弘樹、斎藤隆、島田直也が29歳になる年です。三浦は、少し年下の「弟分」のような立場。やんちゃで、元気がいい弟分でした。
三浦の開幕宣言を受けた権藤監督も、なかば認めるような発言をしていました。
3月1日には「闘志を前面に出す性格だし、開幕投手は意気に感じるだろうな」。三浦がオープン戦で好投した同8日には「他にいないだろう。あんたたち(報道陣)が言うように決めるよ」と発言しています。
三浦自身も順調に仕上がっていましたし、対戦相手の阪神も相性がいい。私は、開幕投手は三浦だと信じて疑いませんでした。
他紙に「開幕は川村」
ところが開幕の数日前、他紙に「開幕は川村」という記事が掲載されました。慌てて取材し直すと、権藤監督は川村の抜てきを決断したというのです。
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1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。
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