新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ボートレースは無観客での開催が続いている。笑ってボートを楽しめる、そんな日が早く来ることを願うばかり。

坂口貴彦
坂口貴彦

そこでふと考えた。ボートレーサーで笑顔といえば誰だろう? 人それぞれあるだろうけど、私は坂口貴彦(30=岡山)を思い浮かべた。取材にはいつもにこにこ、笑顔で応えてくれる。歴代最多勝利の記録を持つ北原友次さんの孫として注目された、デビュー時から変わらない。

そんな彼には弟子がいる。同じ岡山の112期・藤原啓史朗(30)だ。実はこの2人、「幼稚園のころからずっと一緒」。親子、兄弟、同級生、ボートレーサーにはいろんな関係性があるが、幼なじみの師弟は珍しい。

99期の坂口はデビューから13年半。大学に進んだ藤原が13年にデビューした時に「一緒にやろう」と誘った。「同じグループの森秋光さんにお願いにいったら、森さんから僕がやれっていわれて」。選手としては約6年先輩。関係性も変化しそうだが「そこは変わらない。一緒にやる仲間という感じ。師匠って感じでもないですし」と笑った。

藤原啓史朗
藤原啓史朗

その坂口、2月の丸亀でデビュー初優勝を飾った。「もうできないかと思っていたんで。良かったです」と喜びいっぱい。一方の藤原もA1級として活躍している。勝率では上をいく弟子に「あいつはすごいので。僕も頑張らないと」。この時ばかりは、少し師匠の表情が引き締まった。