2020年、今年最後のコラムを飾ってくれるのは塩田北斗選手(32=福岡)。第35回グランプリシリーズでSG初出場を果たした塩田選手に、進化の理由をうかがいましたよ。

--ボートレーサーになったきっかけから教えていただけますか?

塩田選手 ボートは身近にあったんで存在は知ってたんですけど、高校のころ、進路を考える時に最初は平均年収にひかれて…。でも、途中からは「勝負事が好きやし、こんなんも合っとるんかなぁ」って、稼ぎどうこうだけではなくなってきて、3回目の試験で通りました。

--デビューから11年が経ちましたけど振り返っていかがですか?

塩田選手 僕、不器用なんで、いろいろ思ったことがうまくいかないことが長く続いて…という感じはありますね。

--えっ? 不器用ですか?

塩田選手 不器用だと思います。やまと(競艇学校、当時)の時とか、リーグ戦始まってクビにかかりそうな雰囲気の時もあったし、成績も下の方でしたしね。

--それが変わってきたきっかけは?

塩田選手 デビュー期の終わりくらいだったと思うんですけど、仕事で今村暢孝さんと一緒になって「強くなりたいんだったら、こんな風にしてみなさい」っていうのをいろいろと教えてもらったんです。例えば「握ってレースをしなさい」とか、ほんといろいろ教えてもらって、そういうのをずっと心がけてひたすらやってきたんですけど、なにしろ不器用なんで、時間がかかっちゃって。

--アドバイスをいかせるようになったのは?

塩田選手 まだいかせてるかどうかは分かんないし、暢さんが言いたかったことを全部分かってるかは分からないですけど…初めて記念に行った時に「あぁ、こういうことを言ってくれよったんやぁ」って思えたんです。ずっと暢さんに言われてきたことが理解に変わった時に「暢さんが僕を作ってくれたんやぁ」って感じがすごくしましたね。それがなかったら、どうなってたんやろう? って思うんで、僕の大元は暢さんって感じです。

塩田北斗選手(左)は、今村暢孝選手の教えを生かして、日々の努力に励む
塩田北斗選手(左)は、今村暢孝選手の教えを生かして、日々の努力に励む

--その5~6年前辺りからA級をキープして優出も年間10回以上、優勝の回数も増えてきてますよね?

塩田選手 いやぁ、でも一般戦ばっかりなんで、まだ全く納得できてないんですよ。

--そうなんですか?!どうなったら納得できそうですか?

塩田選手 それを最近、自分でも思うんですけどねぇ。勝っても勝っても物足りない! って感覚があるんです。得点トップで優勝戦に乗っても、6号艇で優勝できても全然物足りんというか。今の段階では、どれだけどのレースで勝てても満足できなくて。

--ここは手応えを感じているっていう部分はありますか?

塩田選手 いろいろ挑戦してることが、部分部分ではできてきてるかなーとか、前より調整がちょっと早くなってきたかな~とか、レースとかでも失敗が少しは減ってきてるかなぁとは思うんですけど、それ以上に失敗してることも多いし、あまりにも時間がかかってるんで、モヤモヤしたものがずっとあってこんな歯切れの悪い感じなんでしょうねぇ。

--もっと伸びていけそう、もっと上に行けるって思えるからでは?

塩田選手 それはめちゃくちゃあります! まだまだ全然強くなれる! もっとやれる! っていう無駄な自信はあるんで、結構プラス思考だと思うし、性格はむちゃくちゃ選手向きだと思ってます。

--選手向きと思うポイントは?

塩田選手 折れずにずっとやれるというか諦めないというか…“しつこい”が合いますね(笑い)。それに、窮地に立てば立つほどワクワクするとことか。

--例えばどんな時でしょう?

塩田選手 強い人たちがいっぱいいるレースで、自分が外枠で出よらん時みたいな、何かこう勝ち目が薄い場面とかが全然嫌いじゃないというか…。勝てそうにない勝負で勝ちたいっていうのがあるんですよね。

--確かに、そこで勝ったら格好いいですよね

塩田選手 楽しいですよね。きっと見てる側のお客さんも。そのためにも、1節ごとに見つかる新しい課題をクリアしないとですね。前回はこれがダメやったから直したけど、また新しい課題が出てきたって感じで、ほんと毎回新たな課題が出てきますから。

--じゃぁ、塩田選手まだまだ進化中?

塩田選手 はい! (進化)してると思ってます!!

2014年以降フライングがゼロの塩田選手。

--選手生活11年のうちフライングは3回だけですけど、もともとスタート勘はある方だったんですか?

塩田選手 早いのを行けるかどうかは別として、勘はちょっとはあるのかなと思います。答え合わせがすごく得意というか、この景色やったらこの数字っていうのはわりかし当たる方かなと。でも、僕からしたら、直前で負けん気が勝って、ちゃんと勝負できる人ってすごい尊敬します。もちろん(フライングを)切ったらダメなんですけど、切るかどうかの際の勝負に行って…っていうのが今、僕に足りないところのひとつでもあるんで。

どこまでも自分に厳しい塩田選手の進化、これからも楽しみですね。

○…芦屋ボートで21年2月23日から28日まで開催されるG2「第5回レディースオールスター」の出場選手がついに決まりました。

投票1位に輝いたのは、大山千広選手でした。2位の守屋美穂選手と約8000票近い大差が付き、人気の高さをうかがわせます。地元期待の若手選手という点もありますが、やっぱり抜けた実力が評価されたということでしょう。19年8月、蒲郡プレミアムG1「第33回レディースチャンピオン」を制し、晴れて女王に輝きました。さらに男女混合戦でも実力を見せていました。20年6月児島でG3「ウエスタンヤング」を制覇。スピードを生かし、男子選手をしのぐ姿に魅了された方は多いはず。当然、優勝候補としてシリーズを引っ張ります。

地元勢では小野生奈選手、深川麻奈美選手、竹井奈美選手と続き、新進気鋭の選手に対して期待の高さを感じさせます。遠征勢では守屋美穂選手、平山智加選手、平高奈菜選手と、芦屋でも実績のあるレーサーが選ばれました。

また、レディースオールスターは、「ミス38位」にも注目が集まります。今回、ファン投票38位は、山下友貴選手が入りました。まだ、約2カ月後ですが、今から楽しみです。【芦屋ボート担当・土居恒久】