原田幸哉(45=長崎)が約11年9カ月ぶりのSG制覇を達成。優勝戦はインからトップスタートで他艇を寄せ付けなかった。通算4度目のSG優勝をデビューの地・蒲郡で果たした。賞金ランクは2位に浮上し、6位以内でのグランプリ出場もほぼ確実になった。2着は平本真之、3着は白井英治が入った。

長かった。最後にSGを勝ってから約11年9カ月。支部は変わり、年齢も重ね、45歳になった。しかし、デビューから数え切れないほど走った水面で、仕掛けの勘は全く変わってなかった。インからのスタートはコンマ04。今節5度目となるトップスタートでスリットに飛び込み、1Mを先マイ。序盤から抜群のパワーだった72号機の後押しもあり、他艇は全く歯が立たなかった。まさに圧勝。「イメージ通りのスタート。100点満点のレースができた」。ゴール後は万感の思いを込め、右手を突き上げた。通算4度目のSG制覇は、育ててくれた蒲郡へ最高の恩返しとなった。

長崎支部にも朗報を届けた。87年にクラシック、メモリアルを勝った国光秀雄(引退)以来、34年ぶりのSG制覇。「自分が勝ったことで後輩たちの刺激になれば」。低迷する支部の活性化へ、大きな起爆剤となった。4月に下関でプレミアムGIマスターズチャンピオンを勝ち、5月には徳山周年を制し、今度はSGを勝った。まさに驚異的な復活だ。「気持ちの面が大きい」。余計な焦りがなくなり、自然体の走りが好循環を生んだ。

この優勝で獲得賞金は9800万円を超え、1位の峰竜太も射程圏に入った。「まだまだ僕ら世代も終わっていない。いいレースをして、もっとファンを楽しませたい」。前本泰和、浜野谷憲吾に続き、原田まで確かな実力を誇示した。時計の針が戻りつつあるボート界で、また1人、天才肌のレーサーが輝きを取り戻した。【東和弘】